大学の学長先生の勉強時代のインタビューを掲載。

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わたしの勉学時代

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2012年11月に創立130周年を迎えた國學院大學。個人の特性と能力を最大限に発揮できる教育を実践し、日本で中核的な役割を果たし、国際社会において日本文化の究明と世界へ向けて発信できる人材を育てています。今回は、2011年4月に同大学の学長に就任された赤井益久先生にお話を伺いました。勉強が好きという気持ちが空回りして苦しんだこと、高校浪人のことなど参考になる話がたくさん聞けました。

横浜の下町に生まれる

 私は神奈川県横浜市で生まれ育ちました。横浜駅がある西区の伊勢町というところです。西洋の文化を早くから取り入れてきた、この土地独特の雰囲気に幼い頃から親しんできました。
  実家のあった地域は、昔ながらのいわゆる「下町」でした。皆が親戚のように付き合い、近所の大人たちも、私を自分の子どものように叱ったり、褒めたりしてくれました。夕食をよその家で御馳走になるということも、たびたびありました。幼い頃は、母親に叱られて部屋の窓から逃げ出し、隣家にかくまってもらったこともあります(笑)。外でも常に周囲の大人の目が行き届いていたので、子どもたちは安心して外で遊ぶことができたのです。地域に育てられた面も大きかったと思います。

 

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小学校には、ランドセルではなく、
母が作ったバッグで通っていました。

兄たちから学んだこと

 両親は共働きで、夕方の6時頃にならなければ帰って来ませんでした。父は潜水艦の*1ソナーをつくる技術者で、母は女性向けのバッグのデザインと製作をしていました。今でこそ女性の社会進出は進んでいますが、母は当時としては珍しいキャリア・ウーマンだったと思います。このような事情がありましたので、家の仕事は兄弟で分担していました。私は5人兄妹の4番目で、下に妹が一人います。兄たちは皆、ご飯が炊け、料理も作れました。私の役目は、台所の水瓶に井戸水を汲んでおくことでした。当時は上下水道が完備されていませんでしたので、その水で料理をしたり、食器を洗ったりしていたのです。家の仕事を手伝うことは当然で、嫌になったり、面倒だと感じたりすることはありませんでした。
  私は小学校に入学するまでに、ひらがなとカタカナの読み書きができ、かけ算の九九も言えるようになっていました。なぜかというと、兄たちが勉強をしているのを「面白そうだなあ」と観察していたからです。また、当時は少年向けの雑誌が出始めた頃で、兄たちが読む『冒険王』や『少年』などの月刊誌を真似して読むことで、自然と文字が頭に入ってきたのです。「勉強をしている」という意識がないうちに、学びに触れていました。兄たちから受けた影響は、とても大きかったと思います。

 *1 ソナー…水中を伝う音波を利用して、海底や船舶などの位置を測定する装置。

高校1年生で退学、浪人生に

 特別勉強ができたわけではありませんが、学校に行くのは楽しくて仕方がありませんでした。朝起きると「これから登校するんだ!」とワクワクしていましたね。校門が開くのとほぼ同時に登校していましたので、当然ながら一番乗りでした(笑)。友達と一緒に過ごす時間が大好きだったのです。小学校の児童数が2000人で一度に校舎に入らず、午前の班と午後の班に分かれていた時期がありました。午後の班になった時には、待ちきれずに、午前の班の児童たちが勉強している時に登校して、運動場で一人遊んでいましたね。私が通っていた横浜市立西前小学校の設備は、当時としてはかなり充実していたと思います。特に理科の実験をする機会には恵まれていて、授業も楽しかったですね。また、横浜という土地柄、小学校には外国籍の友人もたくさんいて、しばしば彼らの家へ遊びに行くこともありました。何も考えずに異文化に触れることができたのは、大変良い経験だったと思います。
  中学校進学後は高校受験を意識するようになり、参考書を買い自主的に勉強を「やらなければ」と強く思うようになりました。ですが、一方で、自分の勉強方法には満足していません

 

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高校時代は、父親に「もう寝なさい」と
注意されるほど勉強をしていました(笑)。

でした。今思えば、本当に学びたいことが見つけられずに、勉強に対する義務感ばかりが先行してしまっていたのでしょうね。勉強が好きだという気持ちはあったのに、それを上手に活かせなかったのです。そんな、もやもやとした気持ちを抱えながら工業高校へ進学します。入学当初は学年で2番目の成績だったのですが、次第に意欲がなくなっていき、ついには下から数えたほうが早い順位になってしまいました。「自分のいるべきところに、自分がいない」という感覚が、ずっとつきまとっていたのです。
  そこで、父親や学校の先生と相談して、高校1年生で退学する決意。受験勉強をし直して翌年に神奈川県立湘南高等学校へ進学をしました。「勉強がしたい!」と思えるようになったのは、高校浪人を経た後です。勉強が楽しくなり、すべての教科が面白くなりました。ようやく自分の居場所を見つけたと思えましたね。回り道をしてもやり直せるのが高校時代、そして大学時代だと思います。皆さんも失敗を恐れず、やりたいことを積極的に見つけてください。

幅広い知識こそ求められる時代

  世界史や漢文が好きで、アジア文化、特に東アジア地域における文化に興味を持った私は、早稲田大学を受験しました。東洋文化が専攻できたのは、当時の日本では早稲田大学だけだったからです。また、家の事情で学費などの工面を考えねばなりませんでした。早稲田大学からは「*2大隈記念特別奨学金」を連年でいただきましたので、授業料は免除という形になりましたが、それでも働きながら学ばなければならず、お金も時間もない苦学生生活でした。

 *2 大隈記念特別奨学金…早稲田大学において、入学試験や学業で優秀な成績をおさめた合格者に支給される奨学金。
    授業料相当額が支給される。


  大学一年目は中国語、韓国語、サンスクリット語などを学び、まるで外国語学部の学生のようでしたね(笑)。教養課程では東南アジアまで含めた様々な地域の文化について、幅広く学ぶ機会がありました。高校時代に文系理系の区別なく勉強した経験、そして教養課程での経験は、研究者となった後にも大いに役立ちました。幅広い知識や教養は、現代の大学生にこそ求められていると思います。皆さんも、分野にとらわれず幅広い知識や教養を身につけ、問題を発見し、考え、他者と協力し、解決する力を養ってほしいですね。  私の専門は7世紀から10世紀の唐代の思想、文学です。中国史においては、中世と近世を、唐と宋の間に設定します。歴史研究では王朝が交代したり、革命が起きたりすれば時代が一気に動きますが、文学史はそうはいきません。もっと緩やかな流れで変化していきます。私は、中国に残るたくさんの文献を読み漁り、唐代の中期に文学の様々な要素に劇的な変化が訪れたことを突き止めました。歴史における中世と近世の境目から、150年ほど前になります。このことは、ほぼすべてにわたって中国が先を行く中国文学研究の中で、珍しく日本の研究者がリードした研究となりました。
  研究者時代には、大変な出来事もありました。國學院大學の専任講師であった37歳の時、家が火事になってしまったのです。火元の隣家から延焼し、これまで苦労して集めた資料や本、調査カードやノートなどがすべて焼けてしまいました。文学を研究する者にとって、それらは命の次に大事なものです。あまりのことに心に空洞ができ、もう研究者を辞めてしまおうとも思ったのですが、手がけていた研究が中途半端でしたので、論文だけは書き上げてしまおうと奮起しました。これが結果的に、今日まで研究を続ける原動力になったのです。研究で一度挫折しかけましたが、それを救ってくれたのもまた研究でした。

本当にやりたいことは何か

 皆さんにお願いしたいのは、志望大学を選ぶ時に「本当にやりたいことは何か」を考えること。入学後のミスマッチは、学生本人はもちろん、大学の教員や職員にとっても大変つらいものです。そのためにも、大学の情報をしっかりと集め吟味してください。周りの人と十分に相談してください。保護者の方は、お子さんをサポートしてあげるのだという気持ちでいてくださるといいですね。
  学びというものは、初めのうちはつまらないものです。また、面白いと感じるようになるまでに要する時間も個々で異なります。だからこそ、基礎的な知識や教養を幅広く身につけていただきたいのです。「学びは面白い!」と感じる瞬間は、きっとやって来ます。その時、身につけてきた基礎基本を、学びの意欲に活かしてください。

國學院大學が目指すグローバル化

 國學院大學では、「日本文化の究明と世界へ向けての発信」ができる学生を育てるための取り組みを積極的に行っています。英語は海外へ情報や意思を発信するためのツールであり、重要なのは何を発信するかということです。こうした考えのもと、同大学では、130年の間に蓄積してきた日本の文化・歴史・社会に関する情報を、世界に向けて高いレベルで発信するための「文化発信型英語力」を重視し、そのために「國學院大學英語検定試験(國學院英検)」を設けています。國學院の学生であれば誰でも無料で受検でき、受検後は成績表を送付、さらに希望者には専任教員が個別アドバイスを行います。日本文化体験など関連イベントもありますので、ぜひチェックしてください。  

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今年2月の日本文化体験の様子。茶道の解説を英語で受けました。

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