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 皆さんは、的確な言葉を使って、相手へ気持ちを伝えることができますか?
  社会へ出ると「コミュニケーション力」が必要となってきますが、それは毎日の生活の中で、人と人とのつながりを通じて自然と身についていくものです。今回は、そんなコミュニケーション力について、NPO法人JAMネットワーク代表であり、コミュニケーションスキルをトレーニングする『ことばキャンプ』などの活動をされている高取しづかさんにお話を伺いました。

社会全体で進行するコミュニケーション力不足

 諸外国の人々に比べ、日本人は自分の意思をはっきりと伝える力が弱い。これは前から言われ続けてきたことです。相手を思いやって遠慮したり、感情をぐっとこらえたりすることは、ある意味では日本人の美徳でもあるのですが、グローバル化が進む現代社会においては、やはりしっかりと意思疎通できるスキルが必要になってきます。十分な英語力を身につけていたとしても、肝心の伝える力がなければ、多様な人々とうまくやっていけないでしょう。
私がコミュニケーション力のトレーニングの必要性を感じ、活動を始めたのは2002年ですが、コミュニケーション力不足は、その当時よりもさらに深刻な状況になっていると感じています。多くの企業が、新社会人に必要なスキルとしてコミュニケーション力をあげるほどです。インターネット技術が発達し、誰もがパソコンやケータイ電話でメールのやりとりをします。家族や、隣にいる人とでさえも、直接会話をせずに済む時代です。単純で短い言葉や、絵文字だけのやり取りでコミュニケーションは十分と思うかもしれません。ですが、本当にそうでしょうか。思ったことを上手に伝えられずに気持ちを抑え込んでしまった経験、「むかつく」や「ヤバイ」、「キモイ」などの言葉で感情を表現して相手を傷つけてしまったり、自分が損をしたり、誤解されたりといった経験がありませんか? 自分の気持ちや考えを、相手の気持ちや状況に配慮しながら、上手に伝えることができれば、もっと素敵な人間関係を築くことができるのだということを、ぜひ知ってほしいと思います。

 

『ことばキャンプ』スタート

 夫の転勤に従い子どもたちと共に渡ったアメリカで、日本との教育内容の差を知って驚きました。アメリカでは、幼稚園から高校まで、一貫して話す教育(オーラルコミュニケーション)が行われていたのです。子どもたちは早い段階からコミュニケーションの訓練を受けていますので、積極的に発言をしますし、論理的な説明も上手です。
  そこで、私はアメリカで学校の授業を見学させてもらったり、教育庁の方に会いに行ったり、家庭でどのような教育が行われているか先生や保護者の方にインタビューをしたりしました。そうして日本へ帰国した後、仲間と一緒に「表現力を育てるトレーニングができないだろうか」と模索を始めました。アメリカで見聞きしたこと、自らの子育てで経験したことを基に本を書いて出版。2002年より、仲間と共に幼稚園や小学校でワークショップ『ことばキャンプ』を行ったり、子育て世代や先生方に講演活動をしたりしてきました。子どもとのコミュニケーションの大切さを実感している親御さんとの出会いはとても有意義だったのですが、一方で「本当にコミュニケーションの方法がわからなくて、困っている人たちがいるはず」という思いもありました。そんな時、東京都の児童養護施設でワークショップを実施する機会に恵まれます。児童養護施設の子どもたちの半数以上が、親から虐待や育児放棄されて入所しています。親との関わりが希薄だった彼らは、当然ですがコミュニケーションが非常に苦手で、学校でもトラブルになりやすいのです。私は「コミュニケーションで困っている、本当に届けたい人たちと出会えた!」と実感しました。ここから社会貢献活動がスタートしたのです。以来5年間、東京都と神奈川県の児童養護施設35施設で『ことばキャンプ』のプログラムを実施しました。

 

 

「来てくれてありがとう!」

 私は、コミュニケーション力を育てるための「7つの力」を提案しています。具体的には、度胸力、倫理力、理解力、応答力、語彙力、説得力、プレゼン力です。しかし、これらを単にスキルとして捉えるのではだめですね。
『ことばキャンプ』では、必ず信頼関係づくりからはじめます。子どもたちには、まず「来てくれてありがとう!」、「会えてうれしいよ!」と伝えます。私もスタッフも、心からそう思っているからです。子どもたちは驚きます。テストの点数がよかったとか、言いつけを守れたとか、そうした結果に対して褒められることはあっても、無条件に褒められる経験はまずないからです。「いてくれるだけでいいんだよ」と存在そのものを認めることは、子どもとのコミュニケーションでは最も大切です。大人が心を開けば、子どもはそこに自分の居場所を見つけることができるのです。また、私たちは相手の話を聞く姿勢を大切にして、「話してくれてありがとう!」という気持ちを伝えています。話を聞くことは、その人の時間を大切にすることだと教えています。「静かにしなさい!」とは決して言いません。互いに尊重し合うことで、相手のことを知る楽しさを覚え、相手の気持ちを理解する力も身につくのです。

 

コミュニケーションは楽しい

 『ことばキャンプ』は1回2時間、約3か月かけて行う全6回のプログラムです。参加人数は10名程度、少人数制で一人ひとりに目が行き届くようにしています。ゲームを交えながら楽しくコミュニケーション力を育てます。コミュニケーションは楽しいものだからです。プログラムを通じて成長する子どもたちの姿に、私たちは毎回感動しています。「大切なことを教えてもらいました」や「『ことばキャンプ』で学んだことは、一生忘れません」という手紙を子どもたちからもらうと、本当にやってよかったと思います。
  ある男の子は吃音症を抱えていました。言葉が詰まってしまい話すことに大変な苦手意識を持っていて、学校でも積極的に発言することができませんでした。その子が『ことばキャンプ』を通じて、次第に「話すこと、自分の気持ちを言葉に乗せることは楽しいんだ」と感じてくれるようになりました。それが自分への信頼、そして自信にもつながったのだと思います。後日、先生に話を聞くと、なんと彼が学校のスポーツ大会の選手宣誓をする役に立候補して、見事やり遂げたというではありませんか。先生も感動して泣いておられました。こうした例は、ここでは紹介し尽くせないほどたくさんあります。

 

★『ことばキャンプ』に参加した子どもたちの感想
「言葉を上手に伝えられることが多くなった」「自分からたくさんの人に話しかけられるようになった」
「友だちが増え、もっと学校が楽しくなった」「人が話している時間を大切にできるようになった」

 

大人の褒めるスキル

 『ことばキャンプ』には、スタッフに交じって先生にも参加していただいています。大人の褒めるスキル向上も大切です。
  褒めることと、子どものご機嫌をうかがうことは、まったく違います。褒めるスキルに最も必要なのは「子どものいいところを見つける」ことです。褒めるポイントは大きく分けて3つあります。存在を褒めること、事実を褒めること、可能性を褒めることです。先ほど述べたように、存在を褒めることは最も重要です。他の二つに関してですが、日本人の場合、事実を褒めることは比較的できているように思いますが、可能性を褒めることは苦手であるようです。結果を褒めることはできても、その過程の努力はなかなか目に留まりません。成功失敗にかかわらず、挑戦したこと自体を褒めてあげてほしいと思います。子どもの可能性を褒めることは、彼らの前向きな姿勢を引き出すことにもつながるのです。

 

親であるだけで素晴らしい

 親は、子どもには成功してもらいたい、いい人生を歩んでもらいたいと思っています。子どものことがかわいくて、愛しているからです。だからこそ、いい学校に入ってほしい、成績を上げてほしいと願うのでしょう。だからといって「勉強しなさい!」と頭ごなしに叱ってしまうと、子どものやる気を損なってしまいます。そうではなくて、子どもがその気になるように、上手にサポートしてあげるのが理想です。
  勉強はとても大切です。社会に出て役立つこともたくさんあります。ですが、子どもは実際に社会へ出るまでそれがわかりません。だからこそ、コミュニケーションが必要なのです。なぜ勉強が大切なのか話し合ってください。「お父さんやお母さんは仕事をしているでしょう。あなたにとって、勉強は仕事と同じなのよ」と言うのもいいでしょう。あまりしつこく言うのは逆効果ですが(笑)、一度腰を据えてじっくり話してみることをおすすめします。子どもの好奇心を引き立てる質問は効果的です。「この魚はどこから来たのかな?」、「どうしてこうなるのかな?」と質問して、子どもから教えてもらうようにしましょう。教えてもらったら「面白いね! もっと聞かせて!」などと言って、学ぶことがどんどん好きになるようにサポートしてあげてください。子どものやる気を引き出す工夫をしてほしいと思います。我が子が勉強をしている隣で資格に挑戦してみたり、読書をしたりするのもいいですね。子どもと一緒に学び、一緒に成長する感覚でいいのではないでしょうか。
  学校や社会で、子どもも大人も周囲の評価を気にして生きています。親の立場としては、世間的に評価される、いい親であろうというプレッシャーが多分にあるでしょう。親だって大変なのです。ですが、そのことばかりにとらわれて、余裕がなくなってはいけません。親であるだけで素晴らしいのです。親であるだけで、がんばれているのです。ですから、肩の力を抜いて、少しだけ余裕を持つようにしてください。子どもの考えに耳を傾け、まずは共感してあげてください。何より、子どもとのコミュニケーションを楽しんでほしいと思います。

 

 

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