大学の学長先生の勉強時代のインタビューを掲載。

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わたしの勉学時代

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国立大学法人山口大学の歴史は、江戸時代後期の1815年、長州藩士上田鳳陽による私塾「山口講堂」の設立から始まりました。2015年に創基200周年を迎える同大学では、歴史と伝統を受け継ぎながら優れた人材を輩出し続けています。今回は、ご自身も同大学の出身である岡正朗先生にお話を伺いました。先生の勉学時代のご経験は、勉強に大切なことは何かを皆さんに教えてくれることでしょう。必読です!

外科医院を開業していた父

 私は山口県防府市で生まれ育ちました。「日本で最初に創建された天神様」と言われている*1防府天満宮のすぐ近く、家々の建ち並ぶ街中に住んでいました。また、防府市は佐波川の河口付近に広がる平野を有する土地でもあります。子どもの頃は、田園風景の中を思い切り走り回って遊んだものです。瀬戸内海にも接していて、夏は海水浴を楽しむこともできました。
  父は外科医院を開業していました。仕事一筋の真面目な性格で、朝から夜まで忙しく働いていました。医院と私たち家族の生活空間は一応分かれてはいましたが、はっきりと区別されていなかったと思います。入院患者のベッドが足りない時は、しばしば自宅に泊めていました。居間に集まった患者さんたちと一緒に、テレビで相撲を観戦することもありました。育った環境はなかなか変わっていたと思います。

  *1 防府天満宮…学問の神様で知られる菅原道真を祀る天満宮。創建は道真が没した年の翌904年と伝わる。
     福岡の太宰府天満宮、京都の北野天満宮と合わせて「日本三大天神」に数えられる。

 

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父は80歳を過ぎても現役の医師でした。
いつも忙しそうに働く父の姿を覚えています。

受け身の学習法に慣れ 中学時代に成績が低下

 昔から読書が趣味で、特に歴史について学べる本が好きでした。小学生の頃は『*2 万葉集』に夢中になったものです。和歌の意味は何となくしかわからなかったのですが、文字の音の響きが大変興味深く、繰り返し目を通しました。『万葉集』を通して、「古代の日本はこんな世界だったに違いない」と空想を膨らませることが楽しかったのでしょうね。
  勉強はあまり好きではありませんでしたが、成績は良いほうでした。幼稚園の時から家庭教師をつけられていたのですが、これがいやで仕方なかったです。家庭教師をつけたのは父でした。我が家は代々続く医者の家系で、息子の私も医者になることを期待されていたのでしょう。しかし、私にとって家庭教師との勉強は退屈で仕方がありませんでした。なぜなら、すべて家庭教師が教えてくれるからです。わからないところをすぐに答えてくれるので楽をして知識を増やすことができますが、それに対する理解が追いつきません。理解できた手ごたえがないので、つまらなく感じてしまったのです。そのうち家庭教師から逃げ回るようになりました。そして、中学入学後、家庭教師のほうから「生徒はクビだ」と宣告されてしまいました(笑)。
  自ら考えない受け身の勉強法を続けてきた弊害は、中学時代に現れました。成績が落ちたので、わからないところを自主学習しようと思ったのですが、その方法がわからなかったのです。中学校の勉強も、初めのうちは授業を聞いてさえいれば、またテスト直前に詰め込み学習をすれば点が取れていました。ところが、学年が上がり勉強が難しくなるにつれ応用問題などが増えてくると、そうは言っていられなくなります。自ら工夫して考える学習方法を知らずにきた私は、学習内容をよく理解できておらず、実力が身についていなかったのです。「こんなにわからないところがあったのか!」と驚きました。

  *1 万葉集…現存する日本最古の和歌集。7世紀後半〜8世紀後半頃にかけて編纂された。天皇や貴族、防人(九州沿岸の防衛のために置かれた兵士)など様々
     な身分の人々の歌が4500首以上集められている。

「自ら気づく」学習方法で成績が飛躍的にアップ!

 山口県立防府高等学校に進学後も、勉強に関する悩みは解決しないままでした。自分で問題集を買って来て解くなど工夫もしてみたのですが、苦手な教科の成績は上がりません。物理のテストで赤点を取ってしまい、夏休みに補習を受けたほどです。
  高校3年生になり、いよいよ受験勉強を始めなければという時になって、「難しい問題にばかり挑戦しているからだめなんだ」ということに気がつきました。きっかけは、どんなにがんばっても解けなかった難問を父が解いてしまいショックを受けたことです(笑)。受験生となって焦りも出始めていたのですが、「まずは自分にも解ける問題に挑戦して、少しずつ自信をつけながらステップアップしていこう」と思い直し、勉強方法を改めることにしました。ちょうど同じ頃、新しい問題集と出合いました。これが私に大変合っていて、今まで理解できなかった部分を補うのに大変役に立ったのです。おかげで成績は飛躍的にアップし、高校最後の実力テストでは学年1位を獲得するまでになりました。自分で「ああ、ここはこういう意味だったのか!」「ここはこうすれば解けるのか!」と気づきながら勉強することが、これほど成績に影響するとは思いませんでした。
  父や母の期待も肌で感じていましたので、目指したのはもちろん国立大学の医学部です。ところが、成績が上がったとはいえ、志望校に合格するほどの実力は身についておらず、けっきょく1年間浪人することになりました。浪人時代は、福岡県の予備校に入って下宿生活をしていました。最初の3か月ほどを予備校の寮で過ごし、後は親戚の家でお世話になったのですが、周辺は娯楽施設もほとんどなく勉強する環境としても最適でした。数学は自前の問題集を作り、あらゆる問題のパターンを網羅して、いつでも振り返ることができるようにしました。小学生の頃から『万葉集』を読んでいたほどですので古典も好きでした。古文や漢文は苦手な人も多いと思いますが、まずは現代文とは違う言葉の音の面白さから入るのがおすすめです。何か一つ面白いと思える点が発見できれば、勉強は楽しくなると思います。また、これは中学生の頃から続けてきたことですが、新聞には毎日必ず目を通していました。新聞には様々な分野の情報が紹介されています。活字に慣れることができるだけでなく、時事問題にも強くなるので、皆さんにもぜひ読んでいただきたいですね。

外科は常に患者に寄り添い 患者のために手術の技を磨く

 浪人生活を経て山口大学医学部に入学しました。専門課程に進み、解剖学の授業では学生たちは皆「医師になるんだ」と決意を新たにしました。初めて御遺体と向き合うことで、命と向き合う仕事を目指しているのだと再確認するのです。また、医療に携わる道を志す仲間たちは、互いの腕を競い合う良きライバルでした。
  医学部への進学を決意するのと同時に、父と同じ外科医になろうと思っていました。外科医は、常に患者に寄り添い、病状を見極め、手術をして結果を出します。患者の命を預かっていることを自覚し、必ず病を治すのだと思い、独りよがりの考えで進めるのではなく、周りの声に耳を傾けることが必要です。こうした責任に魅力を感じたのも、外科医を志した理由の一つです。臨床の現場では、初めのうちは何もわからず歯がゆい経験もしましたが、日々前向きに、懸命に手術の技を磨こうと奮闘しました。病院に泊まり込み、手術があれば駆けつけたものです。一つでも多くの手術を経験し、他の若手の医師たちよりうまくなりたいと強く思っていました。

 

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手術の腕を上げることはもちろん、患者の気持ちに寄り添い、病を治したいと強く思うことも医者には大切です。

 免疫学の研究にも携わりました。アメリカ合衆国ネブラスカ州のクレイトン大学に留学した時は、激しい競争に身を置くアメリカの研究者たちを目の当たりにしました。研究室のボスは忙しい人で、論文について相談しようと思ったら朝の5時でなければつかまりませんでした。1年と数か月の留学でしたが、貴重な経験をさせていただいたと思います。研究においても、臨床の現場と同じく、患者のために病を治す方法を見つけ出したいという熱意が、最も必要ではないでしょうか。

自分で考え、決断する

 皆さんには、ぜひ「自分で考える」ことを意識していただきたいと思います。自分にはどのような力があるのか、得意なことは何か、興味のある分野は何か、ぜひ考えてみてください。学校や塾の先生、家族の方からもらうたくさんのアドバイスや、様々な外部からの情報も判断材料の一つとして受け取り、最終的には「自分で決断」しましょう。私が受け身の勉強をして失敗したように、自分で考えたり決断したりしなければ、成長はできないものです。
  大学生にぜひ身につけてもらいたいと思っているのは、コミュニケーション力と課題解決力です。どちらも自主性がなければ身につけられません。今のうちから、ぜひ自ら考え決断することを習慣にしてください。

山口大学創基200周年

 1815(文化12)年、長州藩士上田鳳陽が学問発展を目的に設立した私塾「山口講堂」が山口大学の始まりです。2015年に創基200周年を迎える同大学では、様々な企画が計画されています。岡先生が特に力を入れておられるのが「山口大学基金」の創設です。学部生や院生の学ぶ意欲を助けるための経済的支援、留学生の積極的な受け入れ、産学官連携、地域社会への貢献など教育・活動・研究への幅広い支援を目的としています。他にも、記念式典、学生主体の企画などが予定されています。
  4月には9番目の学部「国際総合科学部」が誕生し、地域に貢献できる人材、世界へ挑んでいける人材の輩出にますます力を入れる同大学の教育に注目です!
■創基200周年記念特設サイト
  http://www.yamaguchi200.jp

 

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山口講堂跡にある「山口大学創基の地」記念碑

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