大学の学長先生の勉強時代のインタビューを掲載。

目標を決めたら! 始めよう!タイムスはいつでも君の味方です!

メールフォームでも受付中

関塾TIMES

今月のタイムス

関塾タイムス特集記事

大学の学長、塾先生の勉学時代

関塾タイムス・イラストギャラリー

タイムス編集部だより

関塾

KANJUKUTIMES

tel06-6241-5050

〒541-0056
大阪市中央区久太郎町3-4-30
船場グランドビル六階

関塾

>>バックナンバーはこちら

image

わたしの勉学時代

image

1880年(明治 13 )年の東京法学社設立を起源に持つ法政大学。建学以来「自由と進歩」の精神を掲げ、グローバル社会の幅広い分野で活躍する人材を多く 輩出してきました。今回、そんな同大学のご出身で、2014年4月に総長に就任された田中優子先生にお話を伺いました。
研究者であり、教育者であり、そして表現者としてもご活躍の先生は、どのような勉学時代を過ごされたのでしょうか。

江戸時代の息遣いが残る裏長屋の賑やかな暮らし

神奈川県横浜市の実家は、古くから続く商店が並ぶ下町にありました。テレビで時代劇などを見ていると、裏長屋という言葉が出て来ます。昔は、大通りに面して建てられた家を表店と呼びました。その裏側、細い路地に並ぶ家が裏店です。
裏店の建つ場所にある長屋を裏長屋と言い、私たち家族はここに住んでいました。長屋は昔ながらの集合住宅です。
一棟の建物を区切って複数の家族が暮らします。台所は壁が薄かったので、隣家の話し声が聞こえたものです。
家に入ると土間があり、座敷の上がり口は椅子ほどの高さがあって、腰かけられるようになっており、人が訪ねて来るとここに座り話をしました。近所付き合いが密でありながら、互いに礼儀もわきまえている。何より毎日とても賑やか。江戸時代の裏長屋も、このような風景だったと思います。

 

image

体を動かすのが好きな子どもでした。家の前にあったイチジクの木には毎日のように登っていました。

本が大好きな子ども

父は空調機の設計士でした。両親と祖母、5歳上の兄と私の5人暮らし。決して裕福ではありませんでしたが、本は好きなだけ読ませてもらえました。家族そろって古本屋に行くのを楽しみにしていたものです。たくさんの本の中から「読みたい!」と思える一冊を見つける幸せな時間は、まるで宝探しをしているかのようでした。
ジャンルにとらわれずに、様々な本を乱読していました。
両親は共に母子家庭で育ちました。経済的に厳しく、子どもの頃に十分な教育を受けられなかったそうです。父は、小学校卒業後に独学で高校卒業検定に合格した苦労人。母もまた折 おりに触れ「本当は*1キュリー夫人のような研究者になりたかったのよ」と言っていたくらいなので、もっと勉強したかったのでしょう。
このような経験から、自分の子どもたちには恵まれた環境で勉強をさせたかったのだと思います。両親のすすめで兄は幼稚園受験と中学受験を経験しましたし、私も中学校を受験しました。
また、二人とも5歳からバイオリンを習っていました。
父は、本を読んだり文章を書いたりすることにも熱心でした。そんな父を見て育った私も、子どもの頃から文章を書くことが好きでした。日記帳を買ってもらい、思いついたことを毎日書きつけました。その日あったことを記録するだけでなく、時には作詞をしたり、五線譜を手がきして作曲をしたりしていたのを覚えています。

  *1 マリ・キュリー…1867〜1934年。ポーランド出身の物理学者・化学者。1903年、放射線の研究で夫のピエール・キュリーと共にノーベル物理学賞を受賞、女性初のノーベル賞 受賞者となった。また、1911年にはラジウムおよびポロニウムの発見などによりノーベル化学賞を受賞。

悩んだら論理立てて考えてみる

小学校には様々な家庭の児童が通っていました。当時は珍しかったテレビが家にあるような裕福な家の子も、バラック(仮設の住宅)や港へ荷を運ぶ川船で生活をしている貧しい家の子も一緒に学び、一緒に遊んだものです。戦後間もない頃は横浜に米軍基地があり、混血の同級生も複数いました。
そのような環境の中にあって、子どもたちの間には偏見や差別などまったくありませんでした。
この時期に得た経験を大切にしています。どのような出来事に対しても、世界の多様な価値観をふまえて考えられるようになったからです。
受験を経て、中高一貫の清泉女学院中学高等学校に進学しました。キリスト教系の女子校で、学内には修道院がありました。毎日欠かさずお祈りの時間がある生活。
小学校までの環境とは正反対で、入学直後は慣れずに苦労したのを覚えています。その上、同級生たちからも何となく仲間はずれにされているような気がして、落ち込むこともありました。
ところが、夏休みに入って心に余裕ができると、「仲間はずれは思い過ごしではないか?」と考えるようになりました。学校での出来事を一つひとつ冷静に振り返ってみたところ、彼女たちの態度は特に冷たくなかったことに気づいたのです。そこで、夏休みの後、私は思い切ってクラスメイトに声をかけました。
すると、「やっと打ち解けてくれて嬉しい!」と笑顔で返してくれました。新しい環境に対する私の戸惑いや緊張が相手に伝わっていたので、ぎこちない関係になっていたのです。悩んだら論理立てて考えてみること、導き出した仮説は必ず確かめること、その大切さを学んだ出来事でした。

「文章を書く仕事がしたい」

中学生になってからは天体について興味が湧き、星を観測したり、宇宙について書かれた本を読んだりしました。宇宙を舞台にしたSF小説にも夢中になりました。文学と天体は、私にとって最も興味深い学びの対象でした。
私にとっての学問は、昔も今も変わらず 一つの大きな思考の流れ≠ナす。興味という柱を中心に、様々な分野を学んでいくことが大切だと思っています。興味のある物事に対して、寝る間も惜しむほど夢中になって思考を巡らせることが、この上なく魅力的なのです。一方で、学校の授業のように、教科ごとに学んでいく方法が苦手でした。
そうして本と星ばかり見ていたものですから、成績はどんどん落ちていきます。 当然自覚していましたので、中学3年生の時に「好きなことはほどほどに、勉強もがんばろう!」と切り替えることにしました。
高校時代は校内誌の編集部に所属。編集作業の他に、小説や評論を寄稿したり、写真を撮 とって掲載したりしました。このことがきっかけで、私は「将来は文章を書く仕事がしたい」と思うようになりました。大学進学に際してアドバイスをくださったのは、国語の担当であり編集部の顧問でもあった先生です。「文章力を鍛えられる環境に進みなさい」という先生の言葉に従い、
法政大学文学部を受験しました。

江戸時代の面白さ

私が江戸時代に興味を持ったのは大学時代です。ゼミで*2石川淳を調べているうちに、全集の中に「江戸人の発想法について」という評論を見つけました。それまでの私は、古代文学や近代文学には興味があったものの、江戸時代についてはほとんど知りませんでした。「江戸人の発想法について」は、そんな知識のない私でも江戸時代に夢中になれるほど面白かったのです。
このことがきっかけで江戸時代について調べ始め、思いがけず研究の道へと進むことになりました。
江戸時代の面白さはたくさんあります。 例えば、当時の人々は「自分の中には複数の人がいて、それぞれが役割を担っている」と考えていました。文学や芸術などを調べていると、文章、絵、俳句などのジャンルごとに、同一人物が複数の名前を使い分けていたことがわかります。名前を変えるという行為は、現代の私たちにとっては正体を隠す意味を持ちます。ですが、江戸の人々は違います。文章を書く自分、絵を描く自分は別々に存在し、一つの体の中に住んでいると考えていたので、それぞれに別の名前をつけていたようなのです。
同じ人間でも時代によって価値観がまったく異なる一例で面白いと思います。他にも、四季についての考え方、物の扱い方など、はっとする発見がたくさんあります。

 

image

目覚まし時計の他には自転車も分解しました。こちらも何台かは部品を無くして元に戻りませんでした(笑)。

  *2 石川淳…1899〜1987年。作家。1937 年に『普賢』で芥川賞を受賞。エッセイや評論も多く執筆した。

興味・関心は自分の中にある

私は石川淳の文章に感銘を受けて江戸時代に興味を持つようになり、文学、文章への関心が研究につながりました。
それと同じように、皆さん自身の中にも 興味・関心は必ずあります。「これが好きだ!」と思う瞬間は、必ず訪れます。その時のためにも、ぜひたくさんの本を読んでほしいのです。本は知識や情報をインプットするためだけの物ではありません。本の中に書かれたことが刺激となって、皆さんの中にある興味・関心を引き出してくれます。また、いろいろな場所に出かけてみたり、様々な考えを持つ人と話したりと、積極的に行動してみましょう。自分からアク ションを起こすことで、将来に役立つ経験が増えます。世界が広がりますよ!

グローバル社会に向けて

田中先生は「これからは、国際社会の中で、自分の考えを整理し、発信していく力が問われます。若いうちに海外に行き、自分に足りないものは何かに気づくことが大切です」とも話されました。広い世界を知ることで知識欲は高まります。
法政大学では、グローバル社会で活躍できる人材の育成に力を入れています。学生たちは、語学力を伸ばすだけでなく、外国語を手段として自身の考えを発信したり、国際的な問題解決に挑んだりできる力を身につけるのです。
同大学では、外国語による授業や留学制度の充実はもちろん、国際ボランティア・国際インターンシッププログラム、海外の企業や国際機関で働きたい学生を支援する国際キャリア支援プログラムなど、様々なサポートを行っています。
「将来は世界で活躍したい!」という塾生は要チェックです!

 

image

外国語による授業、英語による学位取得ができるコースの設置などにも力を入れています。

Page Top