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わたしの勉学時代

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最先端分野の研究を進める一方で、世界で活躍できる人材、地域に貢献できる人材を育む国立大学法人愛媛大学。
2016年4月からは、「社会共創学部」の新設、「法文学部」「教育学部」「農学部」の改組という教育組織改革がスタート、注目を集めています。
今回は、2015年4月に同大学の学長に就任された大橋裕一先生にお話を伺いました。好奇心旺盛な先生の“夢”の見つけ方、参考にしてみてはいかがでしょうか!

威厳があって優しい父 明るく面倒見のいい母

私の父は、運輸省の日本国有鉄道(国鉄、現在のJR)の鉄道局に勤めていて、私が生まれた時、一家は宮城県仙台市に住んでいました。ただ、その6か月後に転勤で大阪府に移りましたので、残念ながら仙台のことはまったく覚えていません。
根は関西人ですから、「出身は?」と尋ねられたら「大阪です」と答えています。

初めは吹田市、その後は豊中市に住みました。家は千里川という川のそばで、近所にいたたくさんの友だちと忍者ごっこやコマ回し、探偵ごっこなど、いつも徒党を組んで遊んでいました。どこにでもいるような子どもだったと思います。
あと、時間があれば、家の屋根によじ上って寝転びながら、空を眺めて過ごすのが好きでした。

ほんの少し、やんちゃだったかもしれませんね(笑)。

父とは一緒に遊んだ記憶があまりありません。きっと仕事が忙しかったのだと思います。家にいる時も口数は少なく、子どもたちを叱ったり、注意したりすることもほとんどありませんでした。それでいて、その立ち振る舞いの中に私たちへの深い愛情が感じられる優しい人で、そんな父がかもし出す威厳(オーラ)には、いつも大きな存在感がありましたね。父は、親戚や知人たちからも大変頼りにされていたようで、彼らがいろいろなことを相談に我が家を訪ねて来ていたのをよく覚えています。
母は社交家で、大変明るく面倒見のいい性格でした。両親ともに、他人への思いやりに溢れた人格者でしたね。

 

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スポーツでは球技が大好きでした。小学生の時は同級生とソフトボールを、高校時代はバスケットボールなどをしていました。

子どもの頃は“地理博士”

子どもの頃の愛読書の一つが帝国書院の国土地図帳でした。父の仕事の影響だと思いますが、鉄道の路線図もよく眺めていて、路線名や駅名もすっかり頭の中に入っていました。
小さな“地理博士”だったんですね。 幸か不幸か、日本の主な山の標高や河川の長さなどは、今でも覚えています。地図帳の上で行ったことのない町について、あれこれ空想をめぐらせることが大好きで、その土地の産業や特産物などについて調べて、歴史的な情報と照らし合わせながら、町がどのようにしてできたのか、人々がどんな 暮らしをしているかなどを思い浮かべていました。

そんな私にとって、小学校での勉強は“謎解き”でした。勉強が将来どのように役立つのか考えもおよばない年齢でしたので、テストにはクイズを解くような感覚で臨んでいました。
だから授業は楽しかったです。地理とは別に宇宙や自然にも興味があって、“自然の不思議”や“美しい星空”などをテーマにした本を愛読していました。今でも、自然や野生動物を取り扱ったドキュメンタリー作品がテレビで放映されると、欠かさず見ています。思えば、一時期は天文学者や生物学者に憧れたこともありましたね。教科は違いますが、地理学と生物学、地学は自然環境を背景に持つという点で共通していたからでしょうか。

「ザ・ビートルズ」と出会う

私にとって音楽はとても身近で欠かせない存在です。中でも、イギリスのロックバンド「ザ・ビートルズ」との出会いは一生忘れられません。レコード『抱きしめたい』が初めて日本で発売されたのはちょうど中学2年生の時でした。この曲の創造性、先進性に触れた瞬間、「この世界にこんな素晴らしいミュージシャンがいるんだ!」と大変感動したのを覚えています。ただ、ロックが受け入れられていなかった当時の日本では、「ビートルズを聴くと不良になる」などと言われていたので、翌年に来日して大人気になるまでの間は一部のクラスメイトの間でしか話題になりませんでした。
そんなビートルズですが、私にとっては 英語を積極的に学ぶ上でのいいきっかけになりました。歌詞の意味を調べたり、上手に歌おうと発音を練習したりするようになったからです。
一方で、エレキギターを演奏するようにもなり、医学部の軽音楽部では仲間とバンド活動もしました。今でも、 ギターを弾くことが最高の気分転換になります。
ギターは永遠の友ですね。
お話をしてきたように、自分の興味や関心とうまくつながれば、勉強にも楽しく取り組めるようになります。そして、前向きに努力をした経験は必ず皆さんの糧になっていきます。
初めから100点満点を目指す必要などありません。何よりも、“小さな成功”を積み重ねていくことが効果的です。少し頑張れば乗り越えられるような課題を設定して、徐々に力をつけていきましょう。
基本的事項をまとめた小さな参考書でもこれを完全にマスターしさえすれば80点は取れます。基盤をしっかりと固めて後は実力勝負!

この作戦で行けば、テストに臨む際のプレッシャーもかなり和らぐはずです。

 

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中学入学当時、英語塾に通っていたことを思い出します。母のすすめでしたが、仲間と一緒に勉強に励はげむ環境は好きでした。

医学の道へ進む

私が進学したのは大阪府立北野高等学校ですが、当時の受験事情は今とはだいぶ異なっていました。生徒の成績に応じて、進路指導の先生が進学先を調整されたので倍率はほぼ1倍だったからです。
北野高校の自由闊達な校風は、私にはとても合っていました。学習進度は早く、高校2年が終わる頃には3年分の内容が済んでいましたが、特に数学や英語の予習量が多く、ついていけない生徒を授業中にフォローするようなこともなかったと記憶しています。
あくまでも生徒の自主性に任せた教育カリキュラムでした。
中学時代までは、広告会社のクリエイティブ・ディレクター、建築家などいろんな職業に憧れました。先ほども述べましたが、生物学者もいいなと思っていました。将来どんな職業に就きたいかという時、分野にとらわれない考え方も重要ですが、私自身は、「時間に縛られない創造性のある仕事」に魅力を感じていました。

高校進学後のことですが、父は折に触れ「医学部に進む気はないか?」と私に尋ねるようになりました。口数の少ない父でしたので、とても印象に残っています。実は父方の祖父が医師であり、祖母も医師が多い家系に育った人でした。長男だった父は、 跡を継いで医師になりたかったそうですが、祖父に別の職業に就くように諭され、願いは叶わなかったのだそうです。
幼い頃から祖父の仕事道具を目にしていましたので、私にとって医師という職業は身近なものでした。また、4軒ほど隣にかかりつけ医の先生がいて、親しくお付き合いしていたのですが、ご主人が大阪大学医学部の基礎医学の教授で、顔を合わせるたび「医学は面白いぞ!」と勧誘されていました。これらの外的な要因進路を決めたきっかけにはなりましたが、何よりも「自分の力で創造していく仕事である」と確信できたので、医学部に進もうと決心しました。

 

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愛用のギターを弾く大橋先生

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2歳の頃の大橋先生

“夢”は生きるエネルギー

眼科医になろうと思ったのは医学部の病院実習の時です。百聞は一見に如かずとは言いますが、自分の目で直接に病変(病気になったために現れた変化)部を観察できるところに大変感銘を受けました。
また、眼科では手術は医師が一人で行います。病気を診断する時も、治療方針を決める時も責任は重大ですが、自分の世界の中で仕事ができる点が魅力でした。
一方で、病変部が見えるということは、治療がうまくいったかどうかもはっきりわかるということです。視力が回復したかどうかは患者さんにも実感できます。
患者さんと一緒に視力の回復を喜ぶ瞬間は、何度経験してもいいものです。医学部への進学も、眼科医の選択も自分自身のコンセプトをもとに決断した結果です。
これまでの人生にとても満足しています。

これから大学受験を目指す皆さんには、ぜひ大きな“夢”を持ってほしいと思います。
夢は皆さんの生きるエネルギーだからです。そのためにも、まずは自分自身の世界をできるだけ広げましょう。
新しい経験から新しい興味が引き出されたならば、関連する本を読み、イベントに参加するなど、大いに行動してください。
そうした作業の中から、自身の適性やコンセプトがきっと見えてくるはずです。適切な進路選択のもとで、皆さんにとって悔いのない、充実した人生を送っていただきたいですね。

「社会共創学部」新設

2016年4月より、愛媛大学では大きな教育組織改革がスタートしました。このうち特に注目されているのが、新設された「社会共創学部」です。この学部の特徴の一つに、文系・理系の幅広い知識習得のもと、
フィールドワークなどの実習科目を主体とした実践的なカリキュラムが組まれいることがあげられます。地域と連携した講義や見学、グループワークなどの他、農山漁村に出向いての体験、文化資源を活かした観光とまちづくりについて現地で学ぶ機会など、
多彩な学びの場が用意されています。
課題の解決策を企画・実行し、地域を活性化する「地域イノベーション」の担い手を育てる新設学部。社会と深く関わる学問に興味のある人は、ぜひチェックしてみましょう!

 

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観光資源となる地域の文化について学ぶ機会など、多彩なフィールドワークの実施も特徴の一つです。

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