HとTとの出合い
私が作ったシェルピンスキー四面体を、京都大学総合博物館に展示してもらえることになりました。
正方形に見えることを利用して写真を貼ってオブジェにしたところ、多くの方に興味を持っていただきました。
私は、このような、立方体と同じく3方向から見て正方形に見える立体をイマジナリーキューブと呼ぶことにしました。シェルピンスキー四面体はフラクタルな立体であり、かつイマジナリーキューブでもあります。
さて、フラクタルなイマジナリーキューブは、他にも存在するのでしょうか?
シェルピンスキー四面体は、1|2の大きさのもの4つをつなげる操作を繰り返してできています。
それでは、1|3の大きさのもの4つではどうでしょうか?
私はそうやってフラクタルなイマジナリーキューブを2つ見つけました。
そして、それらのフラクタル構造の基本となる多面体が、これからお話しするH(重六角錐)とT(反三角錐台)です。
HとTのフラクタル
左(7ページ)のHとTを見てください。
Hは2つの六角錐を底面で貼り合わせた形をしています。
また、Tは三角柱の片方の底面の頂点の周りを切った形をしています。この2つの形は、片方は正六角形、もう片方は正三角形に基づいていて、正方形とは縁がなさそうに見えます。
ところが、どちらも立方体の箱にぴったり収まるのですよ。つまりイマジナリーキューブなのです。
しかも、Hは面から見て正方形になるのですから、対称性から考えると、3方向でなく6方向から見て正方形に見える立体です。8ページにHとT、それぞれがぴったり収まる箱の型紙がありますので、ぜひ、皆さんもイマジナリーキューブの不思議を体験してみましょう。
Hを1|3の大きさにしたもの9つを、Hの8つの頂点とHの中心に配置すると、全体がまたイマジナリーキューブになります。Tについても同様のことができます。これは何回でも繰り返すことができます。
つまり、HとTを基もとにフラクタルなイマジナリーキューブができるのです。
次の写真は、Hに対してこの手続きを2回繰り返してできた立体です。
横から見ても上から見てもきれいな形をしていますね。
さらに、Hと同じように、6方向から見て穴がふさがって正方形に見えるんです。その瞬間の写真は、81個のHが9×9のマス目に並びきれいです。この立体オブジェの81個のHは9色に色分けされています。
正方形に見える6方向のどこから見ても、数独パズルと同じくどの列にも行にもブロックにも9色全てが現れるように色付けしました。面白いでしょう? |
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