2023年8月号特集② 将棋・囲碁の世界

将棋は、古代インドの「チャトランガ」というボードゲームが起源だとされています。
囲碁が生まれたのは約4千年前の中国で、どちらも日本にいつ伝わったのか、はっきりとはわかっていません。
ただ、残っている記録などによると、将棋は平安時代から、囲碁は奈良時代には行われていたようです。
近年は、20歳で史上2人目の七冠を達成した藤井聡太さんや、囲碁界史上最年少の13歳11か月でタイトルを獲得した仲邑菫さんなど、若い棋士の活躍が注目を集めています。
考える力や発想力が鍛えられ、集中力が身につくなど様々なメリットがある将棋と囲碁。
その基本ルールと楽しみ方について紹介しましょう。

〈入門編〉対局の前に、基本ルールをおさえよう!

  

「玉将」と「王将」…もともとあったのは玉将だけで王将ができたのはずっと後。現在は玉将と王将を併用することが多く、上位者が王将、下位者が玉将を使うのが一般的。この記事では玉将で統一しました。

1. 駒を動かして攻める

 9×9マスの将棋盤の中で、駒を使って対戦します。駒は、玉将(王将)、飛車、角行、金将、銀将、桂馬、香車、歩兵の8種類。双方が各20枚ずつ使います。駒の動き方と特徴はそれぞれ違うので、まずは駒の名前と動かし方を覚えましょう(詳しくは後述)。

2. 駒を取ると戦力アップ!

 相手の駒がいるマスに自分の駒を進めると、その駒を取って自分の駒にすることができます。どの駒で何の駒を取ってもOK。取った駒は「持ち駒」となり、相手を攻める時などに自分の駒として使えます。

3. 駒は成ることができる

 玉将と金将以外は、敵陣(相手の一段目から三段目)に進むと裏返して変身することができます。「成り」と言い、成ると駒の動き方が増えたり変わったりします。例えば「歩兵(歩)」が成ると「と金」になり、金将と同じ動き方ができるように。銀将、桂馬、香車は成ると元の駒の動きが消えるため、成らずにそのまま使い続けることもできます。これを「不成(ならず)」と言います。
 

1. 碁石は交点に打つ

 碁石は黒と白の2種類。盤上の線と線が交わる「交点」に打ちます。交点なら盤の端や隅に打ってもOK。順番は、黒が最初で次は白……と交互に打ちます(黒石を持つ人が先手)。1回に置ける石は1個だけで、一度置いた石は、間違いだと気づいても動かすことはできません。置き直すのはルール違反です。

2. 相手の石は囲むと取れる

 相手の石から出ている線を全て自分の石で囲むと、その石を取ることができます。2個以上並んだ石をまとめて取ることもでき、取った石は盤上から取り除きます。

3. 打てない場所がある

 相手の石で囲まれている場所には打てません。打った時に自分の石が取られる所(「着手禁止点」と言います)には打てないと覚えておきましょう(ただし、例外もあります)。

将棋は「指す」、囲碁は「打つ」と言うよ。

〈将棋 実践編〉対局してみよう “詰み”の形をつくって玉将を追い込もう!

駒の動かし方と特徴

【 】内は成った後の名称

○玉将または王将
前後左右斜め8方向に1マスずつ動けます。成ることはできません。

○飛車【竜王】
前後左右に何マスでも進めます。
竜王に成ると飛車の動きに加え、斜め四方にも1マスずつ動けます。

○角行【竜馬】
斜め四方に何マスでも進めます。
竜馬に成ると、それに加えて前後左右にも1マスずつ動けます。

○金将
前後左右と斜め前方に1マスずつ動けます。成ることはできません。

○銀将【成銀】
前と斜め前方、斜め後方に1マスずつ動けます。
横と後ろには動けません。成ると金将と同じ動き方になります。

○桂馬【成桂】
2マス先の右か左に進めます。全ての駒の中で唯一、自分や相手の駒を
跳び越えることができます。成ると金将と同じ動き方になります。

○香車【成香】
前方に何マスでも進めます。成ると金将と同じ動き方になります。

○歩兵【と金】
前に1マスだけ進めます。成ると金将と同じ動き方になります。

「王手」と“詰み”

 駒の動かし方がわかったら対局してみましょう。初心者でも、実際にやってみると将棋のおもしろさが実感できるはず。
 先に相手の玉将を取れば勝ちでしたね。次の手で相手の玉将が取れる状態にすることを「王手」と言い、玉将以外のどの駒でも王手がかけられます。盤上の駒を動かしても、持ち駒を使ってもOK。相手の玉将を逃げ場がない状態に追い込むと勝敗が決します。これを“詰み”と言います。
 “詰み”の基本形は「頭金」です。字の通り、金将を玉将の前(頭)に打った形(図一)で、玉将はどこにも逃げられません。将棋を指すと、早く王手をかけたい!と思うかもしれませんが、むやみに王手をかけても“詰み”に持ち込むのは難しいでしょう。玉将の逃げ道を確かめ、そこに行かせないようにいろいろな手を考える必要があります。
 先を読んで自分の駒の動かし方を考え、局面に応じて最善の手を選ぶ――。これが将棋の楽しみ方のひとつです。集中力や決断力が鍛えられる理由はここにあります。定番の攻め方や守り方などがたくさんありますが、まずは駒をのびのびと動かすことから始めてみましょう!

〈囲碁 実践編〉対局してみよう 石を取り合いながら自分の「陣地」を広げる!

「アタリ」を見つける

 囲碁は、石を取ることこそが最大の醍醐味!と感じる人が多いようです。実際の石の取り方や、取った石はどうするのかなど、7路盤を使って説明しましょう。
 石を取るために必要なのは、「アタリ」を見つけること。アタリとは、次の一手で取られてしまう状態を言います。
 図二を見てください。黒は、次にのどちらに打っても白を取ることができますね。これがアタリの状態。また、端や隅は石を取るのに絶好の場所です。図三では、黒は少ない石数で白を取ることに成功しています。相手を端や隅へうまく追い込むと、石を取れる確率がぐっと高まるのです。

正式な碁盤は、縦横に19本の線が引かれたもの(交差する点は361)。19本の路があるので「19路盤」と言います。「7路盤」は初心者向け。他に、「9路盤」「13路盤」などがあります。

取った石の使い道は?

 取った相手の石のことを「アゲハマ」と言います。最終的に相手の陣地を埋めるのに使います。

勝ち負けの決め方

 多くの陣地を取った方が勝ちです。図四を例に、実際にどのように数えるのかをみていきましょう。黒石、白石がそれぞれ端から端までつながって“柵”をつくっています。この柵の内側が「陣地」で、それぞれの陣地内にある交点の数が多い方が勝ちです。
 この時に登場するのが、アゲハマです。陣地を数える際、アゲハマで相手の陣地を埋めることができます。取ったアゲハマの数だけ、相手のポイントを減らせる、というわけです。数える単位は「目」。図四は、黒18目対白11目で、黒の7目勝ち!
 将棋と囲碁は一見難しそうに思えますが、意外とシンプルで親しみやすいゲームです。ルールを覚えたら、そのおもしろさと奥深さにやみつきになるかも? 年齢に関係なく誰でも楽しめるのも魅力のひとつです。気軽に始めてみませんか?

関塾

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