- 今月のタイムス特集②
「敬語」とは、相手への敬意を表す言葉です。「決まりが多くて難しそう」、「いちいち丁寧に話すのは面倒」などと思っている人もいるかもしれませんが、敬語を使う上で最も大切なのは、相手を思いやり、お互いが気分良く会話ができるようにしようという気持ちです。間違った敬語を使っていると、その気持ちが相手にきちんと伝わらない可能性があります。社会に出た時には欠かせないものですし、入試の面接でもチェックされるポイントです。いざ必要となった時に慌てずにすむよう、普段から使えるようになっておきましょう!
敬語は、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つに分けられます。まずはそれぞれの意味と使い方の例を確認しましょう。
尊敬語
尊敬語は、相手のすることや持ち物などに使います。相手を一段上に高めることで敬意を表す言葉です。
①「れる」「られる」をつける
例:言われる、来られる
②「お(ご)~なる」「~なさる」の形にする
例:お話しになる、ご利用なさる
③尊敬語として決まっている語を使う
例:いらっしゃる、召し上がる
謙譲語
謙譲語は、自分のすることや持ち物などに使います。自分を低めることで相手を高めて敬意を表す言葉です。
①「お(ご)~する(いたす)」の形にする
例:お伝えする、ご案内いたす
②「~ていただく」をつける
例:教えていただく
③謙譲語として決まっている語を使う
例:伺う、申し上げる
丁寧語
丁寧語は、どちらかを高めたり低めたりするのではなく、物事を礼儀正しく丁寧に伝えるための言葉です。尊敬語や謙譲語を使う時、一緒に使うことも多いです。
①「です」「ます」をつける
例:中学生です、行きます
②「ございます」をつける
例:おはようございます
③指し示すものを丁寧に言う
例:こちら、どなた
丁寧語は広く使えますが、尊敬語と謙譲語は動作をするのが誰かによって使い分ける必要があります。相手であれば尊敬語、自分(や家族など身内)であれば謙譲語です。
尊敬語であれば「~れる」「お(ご)~なる」、謙譲語であれば「お(ご)~する」といった形は全ての動詞に使えますが、よく使う動詞には尊敬語・謙譲語だと決まっている語がそれぞれあります。面接などでも使う機会の多い語を表にまとめたので、確認しておきましょう。
面接などただでさえ緊張する場面で、慣れていない敬語を使おうとすると間違えやすいです。次のような初心者がしがちな間違いに普段から気をつけておきましょう。
尊敬・謙譲表現
尊敬語と謙譲語を混同しないようにしましょう。表に示した語は、普段あまりなじみがないため、間違えてしまいやすいです。例えば「言う」の尊敬語は「おっしゃる」、謙譲語は「申し上げる」です。これを混同して、面接官に対して「先ほど申し上げられていたように~」などと使ってしまうと失礼に当たります。
身内を指す表現
家族など身内の人のことを話す時には謙譲語を使いましょう。「お父さん」「お母さん」ではなく「父」「母」と言います。また、面接で注意しておきたいのは、担任の先生なども自分に近い立場の人として扱うということです。面接を受けている学校の先生と区別するため、通っている学校の先生には尊敬語を使わないようにしましょう。
二重敬語
敬語を重ねすぎないようにしましょう。「お~になる」と「られる」を重ねたり、表に示した語と重ねたりして使うことを二重敬語と言い、よくある間違いのひとつです。「お話になられる」「お召し上がりになられる」といったような例で、まわりくどく、印象を悪くしてしまうことがあります。
文法的に間違っていたり、くだけすぎていたり、改まった場にはふさわしくない話し方もしないようにしましょう。
さ入れ言葉
二重敬語と同様、丁寧に表現しようとしすぎてしまう間違いです。謙譲語として「~ていただく」をつける時に、余計な「さ」を入れてしまうことです。
例:×行かさせていただきます
○行かせていただきます
ら抜き言葉
可能の表現「~られる」をつける時に「ら」が抜けてしまうことです。上一段活用・下一段活用の動詞と「来る」には「~られる」をつけるのが正しいです。ら抜き言葉は近年使われることが増えており、間違いではなく日本語の変化だとする考え方もありますが、改まった場で使うのは避けましょう。
例:×見れる→○見られる
い抜き言葉
「~ている」とつける時、「い」が抜けてしまうことです。話し言葉としては違和感がありませんが、くだけた印象を与えるため、改まった場にはふさわしくありません。
例:×知ってる→○知っている
若者言葉
「~っス」「ていうか」「私的には」などは、若い世代以外ではあまり使われない言葉で、「です」「というよりは」「私は」などが正しい日本語です。話し言葉ではなく書き言葉として使っても違和感がないかを考えて、丁寧な言葉を使いましょう。
語尾
「私はぁ~」「~ですぅ」など、語尾を上げたり伸ばしたりすると、だらしない印象になってしまいます。また、一文をだらだら続けるのも良くありません。なるべく短い文で言い切り、はきはき話すことを心がけましょう。
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