- 特集①
2022年は、ロシアのウクライナ侵攻や世界各地での異常気象など、国際社会を揺るがすニュースが多くありました。また、日本の安倍晋三元首相の銃撃事件や、イギリスのエリザベス女王の死去も世界に大きな衝撃を与えました。新型コロナウイルスの新規感染者数は2022年1月をピークに減少傾向にあり、世界保健機関(WHO)が流行の終わりが見えてきたと発表するなど明るい兆しもあるものの、戦争の影響による物価高など、世界中で不安定な状況が続いています。
そして、こうした社会の大きな動きは、入試の時事問題でも取り上げられやすいです。世の中で何が起こっているのか、きちんと理解し、自分の言葉で説明できるよう、1年間を振り返っておきましょう!
*この記事の情報は2022年12月1日時点のものです。
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中国の北京で、2月4日からの17日間、冬季オリンピックが行われました。2018年の平昌オリンピック、2021年の東京オリンピックに続いて、3大会連続で東アジアでの開催、北京は史上初の夏冬両季オリンピックの開催都市となりました。
1大会で4個のメダル(金1個、銀3個)を獲得したスピードスケートの髙木美帆選手、最高難度とされる技を見事成功させて金メダルに輝いたスノーボードの平野歩夢選手などが大きな話題に。メダルは逃したものの、人類初の「クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)」に挑んだフィギュアスケートの羽生結弦選手も世界の注目を集めました。日本のメダル数は、金3個、銀6個、銅9個、計18個で、過去最多となりました。
パラリンピックは、直前のウクライナ侵攻を受け、ロシアと侵攻に協力したベラルーシの選手の参加を除外し、3月4日から開幕。日本は、金4個、銀1個、銅2個、計7個のメダルを獲得しました。
新型コロナウイルス感染症の流行から3年目。感染力の強いオミクロン株が猛威を振るい、日本では年明け早々に第6波が押し寄せ、7月頃からの第7波で過去最大の感染者数を記録しました。しかし、世界的な感染者数の減少や重症化率の低下、ワクチン接種の普及が進んでいることなどを受けて、政府は「withコロナ」と言われるウイルスと共存していく方向へと向かい始めており、対策の見直しを進めています。
5月15日、沖縄が日本に復帰してから50年を迎えました。27年にわたってアメリカに統治されていた沖縄には、現在も在日アメリカ軍の施設の多くが集中しており、普天間飛行場の移設などの問題が続いています。
9月29日には日本と中国の国交が正常化してから50年となり、岸田首相と習近平国家主席が祝電を交換しました。11月にはおよそ3年ぶりとなる対面での日中首脳会談が行われ、日中関係の発展に向けての意思疎通を図りました。
9月23日、佐賀県の武雄温泉駅と長崎駅を結ぶ西九州新幹線が開業しました。福岡県から鹿児島県までを通る九州新幹線とはつながっていない単独の区間で、全長66㎞は全国の新幹線で最短です。
4月25日、フランスの大統領選で現職のマクロン氏が再選。現職の再選は約20年ぶりです。欧州連合(EU)各国と協力してロシアへの経済制裁を行うなど、ウクライナ情勢への対応が評価されました。
2月24日、ロシアのプーチン大統領が「特別な軍事作戦を行う」と宣言し、隣国ウクライナへの武力攻撃を開始しました。なぜ戦争が起きてしまったのか、どのような影響があるのかをきちんと知るために、まずはそれぞれの国の特徴を確認しましょう。
侵攻の背景には、主に2つの理由があると言われています。1つは、ロシアとウクライナが同じルーツを持つ国であること。どちらも1991年までは、ソビエト連邦(ソ連)を構成する国でした。現在のウクライナの首都キーウを中心に誕生した国が両国の起源であることから、ロシアはウクライナを兄弟国、特別に自国と近い国だと考えています。
もう1つは、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)への加盟を希望したこと。NATOはもともと、アメリカや西ヨーロッパなどの国々がソ連に対抗するためにつくった軍事組織でした。ソ連崩壊後は、政治的な意味も持つ組織となり、ソ連の元構成国も次々とNATOに加盟していきました。ロシアはそれを脅威だと考えており、地理的にも民族的にも近いウクライナの加盟が許せないのです。
ウクライナは長年、NATOに加盟しない中立的な立場でしたが、2014年に欧米寄りの現政権に交代し、状況が一変。危機感を持ったロシアは、ウクライナのクリミア半島を制圧して自国に編入してしまうという強硬手段をとりました。以来、両国の関係は悪化し、ウクライナの東部地域では政府側とロシア寄りの勢力との紛争が続いていました。
そして今回、ロシアは最後の手段としてウクライナへの武力侵攻を開始したのです。ロシアはすぐに制圧できると考えていたようですが、ウクライナの抵抗は激しく、NATOもウクライナを支援しています。戦争がいつ終わるのか予測がつかない状況が続いています。
ロシアは石油や天然ガスなどのエネルギー資源が豊富な国で、小麦の輸出量も多いです。ウクライナも「ヨーロッパの穀倉地帯」と言われる農業国で、ロシアとウクライナだけで世界の約3割の小麦輸出量を占めています。戦争によって貿易ができなくなったことで、世界的に深刻な食糧不足やエネルギー価格の高騰が起こっています。
日本の石油や小麦などの主な輸入先は両国ではありませんが、世界的に不足していることで、日本でも価格が上がっています。食料やエネルギーの自給率が低く、輸入に頼っている日本は、安定した貿易ができないと大きな影響を受けてしまいます。
侵攻を止められなかったことで、国際連合(国連)の問題点も明らかになりました。国連安全保障理事会(安保理)は、国際平和や安全の維持を担う機関で、常任理事国5か国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国)と非常任理事国10か国(2年ごとに加盟国から選出)で構成されています。常任理事国には拒否権があり、1国でも反対すると決議が採択されません。
今回、ロシアの撤退などを求める決議に対して、当然ロシアは拒否権を行使したため、否決されたのです。ただし、全加盟国からなる国連総会では賛成多数で採択されました。安保理のような法的拘束力はないものの、経済制裁などが行われており、ロシアは国際社会で孤立しています。
近年の日本では、大雨や洪水、猛暑などの異常気象が毎年のように起こっており、2022年も記録的な猛暑や大雨が相次ぎました。6月25日から東京都で続いた猛暑日は、観測史上最も長い9日連続を記録しました。8月上旬には東北地方や北陸地方で大雨が続き、9県で河川が氾濫、6県で土砂崩れが発生するなど、大きな被害が出ました。9月下旬の台風15号では静岡県に*1線状降水帯が発生し、12時間で平年9月1か月分の1.4倍を上回る降水量となりました。
こうした異常気象は、世界各地で起こっています。7月にはイギリスで観測史上初めて最高気温が40度を超えるなど、ヨーロッパでも記録的な猛暑になり、スペインやフランスで大規模な山火事が発生しました。高温による山火事はアメリカやカナダでも発生しています。また、ヨーロッパや中国などでは少雨による干ばつも問題となっています。
パキスタンでは、6月中旬から大雨が降り続き、8月から9月にかけて大洪水が発生、死者が1700人を超えたと発表されました。パキスタンは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量が少ないにもかかわらず、気候変動の大きな影響を受けているとされる国のひとつです。11月にエジプトで開催された*2COP27では、原因を多く生んできた先進国が責任を負うべきだとする、発展途上国の「損失と損害」問題に焦点が当たりました。
*1積乱雲が次々と発生して線状に連なり、狭い範囲で強い雨が長時間降り続く現象。気象庁が6月から線状降水帯の予測情報の提供を始めた。
*2国連気候変動枠組条約締約国会議。地球温暖化に対する具体的な政策を議論する。
7月10日に第26回参議院議員通常選挙が行われました。125議席のうち、自民党は63議席、連立与党の公明党とあわせると76議席を獲得し、選挙前の目標55議席を大きく上回りました。野党では、日本維新の会が12議席を獲得。野党で最も議席の多い立憲民主党は、選挙前の議席数を大幅に下回る17議席にとどまりました。
前回の衆議院選挙に続き、今回も憲法改正に積極的な勢力が改憲に必要な3分の2以上の議席を確保したため、改憲へ向けての議論が進むと考えられています。女性の当選者は過去最多の35名で全当選者の28%を占めましたが、先進諸国に比べると低く、ジェンダー格差も引き続き問題となっています。
また、選挙期間中の7月8日に安倍晋三元首相が銃撃されて亡くなりました。岸田文雄首相は、国が費用を全額出す国葬を行うと決めましたが、事件後、安倍氏や国会議員と宗教団体とのつながりが明らかになったことで、国葬に反対する声が高まり、世論を二分しました。
民法が改正され、4月1日から成年年齢が20歳から18歳へと引き下げられました。18歳から親の同意なくできるようになったこと(クレジットカードの発行、携帯電話の購入など)、従来通り20歳にならないとできないこと(飲酒・喫煙など)があります。また、裁判員裁判にも18歳から参加できるようになりました。成年の定義が見直されるのは約140年ぶりのことです。若い世代が早い段階から大人の自覚を持ち、積極的に社会へ参加するようになることが期待されています。
10月、1ドルが32年ぶりに150円台になり、円安が大きな話題となりました。円安とは円の価値が外国の通貨と比べて下がること。特にアメリカのドルと比較されることが多く、現在の円安の主な理由は、アメリカと日本の金融政策の違いにあります。円安になると、同じものを輸入しても前より多く円を支払うことになるので、輸入産業が打撃を受けます。海外の製品が値上がりして買いにくくなり、生活にも影響が出ます。逆に、海外からは日本の製品が買いやすくなるため、輸出には有利です。
5月10日、韓国の第20代大統領に尹錫悦氏が就任しました。5年ぶりの保守政権が発足し、前政権時代に「史上最悪」と呼ばれるまでに悪化した日韓関係の改善に期待が持たれています。
イギリスでは、ジョンソン首相が辞任し、9月6日に3人目の女性首相となるトラス氏が就任しましたが、10月20日に辞意を表明。同月25日のスナク氏の就任により、史上最短の政権となりました。スナク氏は初のアジア系首相となります。
また9月8日には、史上最長の70年にわたって君主を務めた女王エリザベス2世が96歳で亡くなりました。首都ロンドンのウェストミンスター寺院での国葬には、日本の天皇皇后両陛下をはじめ、各国の王族や首脳2000人以上が参列。国民、世界のために生涯を捧げた女王の死を多くの人が悼みました。
10月22日、メローニ氏がイタリア初の女性首相に就任しました。メローニ氏は自国第一主義を唱える右派政党に属しており、今後、EUとの関係をどう構築していくかが注目されています。
11月8日に行われたアメリカの中間選挙は、与党の民主党が不利と見られていましたが、下院は共和党が過半数となったものの、上院は民主党が過半数を維持、上下で多数派が異なるねじれ議会となりました。この結果を受け、バイデン大統領、トランプ前大統領とも2年後の大統領選に出馬の意向を示しています。
国連は11月15日、世界の総人口が80億人を突破したと発表しました。世界人口はこの11年間で10億人増えており、今後も増え続けて、2080年代に104億人でピークを迎えると予想されています。ただし、地域格差が大きく、アジアやアフリカで人口増加が問題となる一方で、日本など少子化が問題になっている国も多いです。
11月21日(日本時間)、カタールで中東初の開催となる、FIFAワールドカップが幕を開けました。暑さを避け、通常の6~7月ではなく、11~12月に行われます。