- 特集②
皆さんは図書館をどのくらい利用していますか? 図書館では、ただ本を読んだり、借りたりするだけではなく、いろいろなことを調べることもできます。近年では、図書館の所蔵している膨大な資料をデジタル化してインターネット上で公開する「デジタルアーカイブ」も盛んで、図書館に行かずに利用することも可能になりました。こうした図書館の機能を上手に活用すれば、おもしろい本を見つけることはもちろん、調べ学習なども効率良く進められます。図書館の使い方のコツを知って、様々な学びに役立てましょう!
図書館の歴史は古く、古代メソポタミアのアッシリア帝国の王宮跡から見つかった、紀元前7世紀の粘土板を収めた図書館が世界最古と言われています。日本では、奈良時代に石上宅嗣が書庫を希望者に公開したのが図書館の始まりとされています。
もともと図書館とは、様々な知識を記録したものを集めて保存することを主な目的とする場所でした。そのため、閲覧に制限があったり、有料だったりしていて、長い間、利用する人が限られていました。今あるような誰でも気軽に使えて無料で利用できる公共図書館ができたのは19世紀後半のことです。
日本の「図書館法」によると、現在の図書館とは「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設」です。資料を集めて保存するだけではなく、一般の人々に提供することも大事な役割のひとつになっているのです。
日本の図書館は、利用者や集める資料の違いによって、次の5つに大きく分けられています。
◦公共図書館
各地域にある公立や私立の図書館です。主にその地域に住んでいる人や働いている人が利用できます。地域の歴史や文化に関する資料が充実しています。
◦学校図書館
学校の中にある図書館です。「学校図書館法」により、小中学校や高校などのすべての学校に図書館の設置が義務づけられています。子ども向けの本や、授業や調べ学習で使う資料が集められています。
◦大学図書館
大学ごとにあり、授業で使う資料や研究に必要な資料が集められています。資料の提供だけでなく、講義や演習を行う場所としても活用されています。
◦専門図書館
企業や研究機関などの組織が設置する図書館です。組織が必要とする特定の分野に関する専門的な資料が集められています。
◦国立図書館
国が運営する図書館です。日本には、国立国会図書館3館(東京本館・関西館・国際子ども図書館)があります。日本で発行されたすべての出版物が集められています。
図書館では本を読むだけではなく、調べものもできます。調べものをするなら、図書館に行って本を探すよりもインターネットで検索した方が簡単ですぐに調べられていい、と思っている人もいるかもしれません。確かにインターネットは便利ですが、検索結果の上位に出てくるようなものでも誰が書いたかわからないことが多く、正確な情報ではないことがあります。図書館の資料は、その分野の専門家が書いたことがはっきりしていて、信頼性が高いです。上手に活用するために、どのようなことができるのか、知っておきましょう。
◦閲覧
図書館の中で資料を読んだり、調べたりできます。CDやDVD、インターネットなどを利用することもできます。
◦貸出・返却
資料を借りることができます。一度に借りられる冊数や期間は図書館ごとに決められており、期間内に返します。貸出中の資料を予約したり、他館から取り寄せたりすることもできます。
◦複写
貸し出せない資料もコピーすることができます。ページ数などに条件があり、申し込みが必要な館が多いです。
◦レファレンス・イベント
資料が探せない時や調べ方がわからない時など、図書館員(司書)に手伝ってもらえます。読み聞かせなどのイベントを開催している館もあります。
図書館には、図書(本)だけではなく、雑誌や漫画、新聞、DVDやCDなど、様々な資料があります。誰でも目的の本を探しやすいように、「日本十進分類法」に従って分類番号ごとに並べられます。本の背に貼ってあるラベルに記号が書かれています。
資料を探すにもいくつか方法があり、調べたい内容によって使い分けます。
◦オンライン目録で検索する
探したい資料の書名や著者名がわかっている場合は、資料の目録から調べて、図書館にあるのか、あるならどの場所にあるかを知ることができます。ほとんどの図書館でパソコンを使ってオンライン目録を検索できるようになっており、来館しなくてもインターネット上で事前に調べておけます。関連するキーワードだけでも検索できますが、該当する資料の数が多過ぎると結果が表示されません。条件をしぼって使いましょう。
◦テーマ・分類から探す
調べたいテーマがはっきりと決まっていない時は、まず百科事典や年鑑など様々なことについて広く書いてある本から調べます。その中から気になるテーマが見つかったら、掲示されている日本十進分類法の表で探したい本の内容がどの分類に近いかを調べて、その分類がある本棚に行って本を探します。書名を見て気になった本があれば、目次などを見て、知りたい内容が書かれているか確認しましょう。
◦司書に相談する
探しても資料が見つからない時や、わからないことがある時は図書館の人に尋ねることができます。調べたい内容について、どのような本をどの順番で読んでいけば良いのか、また、どの本がおすすめなのか、相談してみましょう。
近年の図書館では、資料を写真に撮ったりスキャンしたりして、デジタル化を進めています。資料を長く保存すること、使いやすくすることが目的です。図書館だけではなく、美術館や博物館などでも行われており、所蔵資料や所蔵品をインターネット上で公開、共有できるようにデータベース化したものを「デジタルアーカイブ」と言います。おすすめのものを紹介します。
国際子ども図書館による、中高生向けに日本の近代史をわかりやすく解説した、インターネット上の展示会サイトです。国立国会図書館が所蔵している歴史資料や書籍にある写真を使い、「人物」「テーマ」「史料」などの切り口から構成され、「筆跡当てクイズ」などもあり、楽しみながら歴史を学べるように工夫されています。
国立国会図書館による、「歴史的音源」の専用サイトです。歴史的音源とは、1900~1950年頃に国内で製造された初期のレコードの音源をデジタル化したもの。様々なジャンルの音源が約5万点収録されており、うち約5千点がインターネット上で公開されています。音楽だけではなく、著名人の演説や落語、鳥の鳴き声など、いろいろな“昔の音”を聞くことができます。