- 特集①
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2023年、日本では新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に引き下げられ、様々な活動が本格的に再開、少しずつコロナ前の生活が戻ってきました。世界の大きなニュースといえば、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を支配するハマスとの間で起きた戦闘が挙げられるでしょう。2022年に始まったロシアのウクライナ侵攻も終わりが見えません。こうした心配なニュースの中で、野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が3大会ぶりに優勝、将棋の藤井聡太棋士が8つのタイトルを独占する八冠を達成するなど、明るい話題もありました。
2023年に国内外で起きたできごとを振り返り、入試の時事問題対策に役立ててくださいね!
*この記事の情報は、2023年12月1日時点のものです。
5月19~21日、主要7か国首脳会議(G7サミット)が広島市で開かれ、G7や欧州連合(EU)の首脳などが出席しました。今後の経済成長が期待される、または現在成長中の8か国も招待され、平和問題や世界経済などについて討議されました。招待されたのは、ブラジル、インド、オーストラリア、アフリカ東部の島国・コモロ、南太平洋の島国・クック諸島、インドネシア、韓国、ベトナムで、これらの国の多くが含まれる新興国・途上国は、まとめてグローバルサウスと呼ばれます。
20日にはウクライナのゼレンスキー大統領が急遽来日。ロシアのウクライナ侵攻後、G7のリーダーと揃って顔を合わせたのはこの時が初めてです。
核兵器や外交などに関してG7が今後どう対応していくかが話し合われ、議長を務めた岸田文雄首相は「核兵器のない世界」に向けて力を合わせていくことを強調。19日に発表した核軍縮に関する首脳声明「広島ビジョン」でも核兵器のない世界を目指すとしましたが、実現への具体的な道筋は示されず、核兵器を全面的に否定する内容ではありませんでした。また、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援や、領土をめぐって軍事的な圧力を強める中国への対応についても盛り込まれました。
MEMO
G7サミットとは
日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの主要7か国(G7)の首脳と欧州委員会の委員長らが年に1回集まって行う国際会議。
新型コロナウイルス感染症の法律上の分類が、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられました。様々な研究が進みデータが蓄積されたことなどから、効果的な対策や診断、治療ができるようになったためです。
緊急事態宣言下では行動が厳しく制限されましたが、政府は段階的に規制をゆるめ、3月にはマスクの着用を個人の判断にゆだね、4月には入国規制を撤廃しました。5月8日に5類に移行すると、人の移動や経済活動が本格的に再開。マスクなしで友達と会って話をしたり、食事をしたりする光景が見られるようになり、中止されていた行事やイベントが復活、スポーツの声出し応援が可能に……など、コロナ前の日常が少しずつ戻ってきました。
2020年1月に国内初の感染者が確認されてから約3年4か月。今後は各自の判断で自主的に感染予防対策をすることになります。コロナによる制約の中で、オンライン授業やリモートワークが広がるなど、社会生活にも大きな変化がありました。
気象庁は9月1日、2023年夏(6~8月)の全国の平均気温が、1898年の統計開始以来、最も高かったと発表しました。猛暑日(最高気温が35度以上)の日数は全国38地点で最多となり、過去151年で猛暑日が一度もなかった北海道函館市で初めて記録されるなど、異例ずくめの夏に。最も気温が高かったのは、8月に記録された40.0度(福島県伊達市と石川県小松市)。
12月1日には秋(9~11月)の平均気温も発表され、平年値(1991~2020年の平均)を1.39度上回り、統計開始以来、最も高かったことがわかりました。
1~11月の平均気温はプラス1.34度で過去最高を大きく上回っており、気象庁は年間でもこれまでで最も暑かった1年になることはほぼ確実としています。
MEMO
地球温暖化から“地球沸騰化”の時代へ
2023年6~8月の世界の気温が観測史上最も高くなった事態を受け、国連のグテーレス事務総長は、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と強い危機感を示しました。
20か国・地域で野球の世界一を争う第5回「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」が3月に開幕。日本代表(侍ジャパン)には、エンゼルスの大谷翔平選手やパドレスのダルビッシュ有投手など大リーグで活躍する選手も名を連ね、史上最強とも言えるメンバーが集結しました。
侍ジャパンは順当に勝ち進み、1次リーグを全勝で突破。準決勝のメキシコ戦では9回に村上宗隆選手(ヤクルト)が2点二塁打を放ち、劇的な逆転サヨナラ勝ちをおさめました。決勝のアメリカ戦は、7番目の投手として9回に大谷選手がマウンドへ。アメリカの強打者・トラウト選手から三振を奪って優勝を決めました。チーム一丸となって戦う姿が大きな感動を呼び、日本中が歓喜に包まれました。
MEMO
MVPは大谷翔平選手
大会の最優秀選手(MVP)に選ばれたのは、投打で活躍した大谷翔平選手。大谷選手は、アメリカ大リーグ(MLB)でもアメリカン・リーグのMVPに満票で選ばれました(2年ぶり2度目)。
8~9月に行われたFIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)、ラグビーW杯フランス大会で日本チームが熱い戦いを繰り広げました。バスケは、順位決定戦最終戦で勝利し、2024年のパリオリンピックへの出場権を獲得。ラグビーは、1次リーグの初戦でチリに、3戦目でサモアに勝利したものの、強豪のイングランド、アルゼンチンに敗れ、2大会連続の決勝トーナメント進出はなりませんでした。
将棋の第71期王座戦で、藤井聡太棋士が勝利して王座を奪うとともに、将棋界の8つのタイトルを独占し八冠を達成しました。タイトル独占は、1996年に七冠(当時の全タイトル)を達成した羽生善治九段以来、4人目。2016年に史上最年少の14歳2か月でプロ入りした藤井八冠は、デビューから29連勝の新記録を樹立し、その後も将棋界の歴史を次々と塗り替えています。17歳11か月の最年少で初タイトル(棋聖)を獲得してから3年あまり。21歳2か月で、残り7つのタイトル(名人、王将、竜王、王位、叡王、王座、棋王)をすべて独占。「現状敵なし」の声が上がるほど圧倒的な強さをみせています。
4月に統一地方選挙が行われ、41道府県議会選挙の女性当選者が過去最多の316人にのぼりました。ただし、2260の定数に占める割合はわずか14%で、海外の国と比べるとまだまだ少ないのが現状です。
88の市長選挙では過去最多の7人の女性候補が当選を果たし、東京都では、北区、江東区、豊島区で女性区長が誕生しました。
文章や画像、動画、音楽などを新たに作り出せる人工知能「生成AI」の利用が急速に拡大。業務の効率化に役立つといった利点から、企業や学校などで利用する動きが広がった一方、情報の信頼性を心配する声も。文部科学省は7月、小中学校での生成AIの活用法や注意点をまとめたガイドラインを発表し、その特性をよく理解した上で活用を考えるように呼びかけました。
2022年に始まった値上げラッシュは2023年も続きました。家庭用を中心とした食料品や飲み物の値上げ品目数は3万品目を突破し、過去最大級に。その理由として、原油やガスなどのエネルギー価格の値上げや、円安を背景とした原材料費の高騰などが挙げられます。長引くロシアとウクライナの戦争も影響しています。
MEMO
円安とは何?
円の価値が外国の通貨と比べて下がること。円安が進むと輸入する原材料が高くなるため、物価高に。
中東の国イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区で10月7日、戦闘が始まりました。パレスチナ人の住むガザ地区を支配するイスラム組織ハマスがイスラエルに対して大規模攻撃を開始し、大量のロケット弾を発射。約1500人の戦闘員がイスラエル領内に侵入して民間人を襲撃するなどしました。これに対しイスラエルは、報復としてガザ地区で空爆を行い、双方で多くの死者が出ました。
イスラエルとパレスチナは、長年にわたって対立が続いています。イスラエルは、昔ヨーロッパで迫害されたユダヤ人が1948年に建国しました。第二次世界大戦後、ユダヤ人たちはかつて自分たちの王国があったパレスチナに新しく国をつくろうと考え、国連は1947年、この地をユダヤ人とアラブ人の2つの国に分ける決議を採択。これに基づいて翌年、イスラエルが建国されたのです。しかし周りのアラブ諸国はこれに納得せず、イスラエルを攻撃。その後、戦争が繰り返されるようになりました。
戦争によって住む土地を追われたパレスチナ人は難民となり、怒りを募らせるパレスチナ人の中には武力でイスラエルに対抗しようとする勢力も。今回の戦いを仕掛けたハマスもそのひとつです。ハマスに対し容赦ない攻撃を続けるイスラエルと、イスラエルを国家と認めないハマスとの闘いは沈静化の兆しすら見えていません。
MEMO
パレスチナ自治区
パレスチナ自治政府が治めるヨルダン川西岸地区と、ハマスが支配するガザ地区に分裂しています。
ロシアがウクライナへの侵攻を開始したのは2022年2月。それから約1年10か月経った今も、戦争は終わりが見えません。当初は国力で上回るロシアが圧倒的に有利だとみられていましたが、ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)各国の支援を受けて抵抗を続けており、長期化の様相を呈しています。
2023年のノーベル生理学・医学賞に、アメリカ・ペンシルベニア大学のカタリン・カリコ特任教授とドリュー・ワイスマン教授が選ばれました。新型コロナウイルスの感染などを抑える「mRNAワクチン」の早い開発を可能にした研究が高く評価されての受賞です。普通なら開発まで5~10年かかるワクチンが約1年で実用化され、2人の研究は世界中の何百万人もの命を救ったと言われています。生理学・医学賞の過去200人以上の受賞者の中で、カリコ特任教授は13人目の女性。受賞が決まった後の記者会見で、後に続く女性に向けて、「問題を解決したいと思うのなら、科学はあなたのものです」とエールを送りました。
国連人口基金(UNFPA)によると、インドの総人口が2023年半ばの時点で約14億2860万人となり、長年トップだった中国を約290万人上回って世界一の人口大国となりました。
MEMO
日本の人口は減少
日本の人口は2008年、1億2808万人となりピークに。その後は減少に転じ、2023年はすべての都道府県で減少しました。
2月、トルコ南部からシリア北部にかけての一帯で、マグニチュード7.8と7.5の大地震が相次いで発生。両国合わせて5万人以上が死亡し、過去10年あまりで世界最大の地震被害となりました。
NATOはベルギー・ブリュッセルの本部で外相会合を開き、フィンランドを加盟国として正式に迎えました。スウェーデンも加盟を申請中で、2023年中に正式に実現する見通しです。
MEMO
加盟国は31か国に
NATOは1949年、12か国で発足。フィンランドが加わって加盟国は31か国に。NATOの拡大は2020年の北マケドニアの加盟以来です。