グローバル化が進む現代社会では、海外の人とコミュニケーションがとれる外国語を学ぶことがとても重要です。そのため、2020年度から小学校でも英語が正式な教科となり、2021年度からセンター試験に変わって始まった大学入学共通テストでは英語の試験内容が大きく変わりました。共通テストの変更点のひとつには、「アメリカ英語に加えて、場面設定によってイギリス英語も使用すること」があります。日本の学校ではアメリカ英語を中心に学びますが、世界で使われている英語は1種類だけではなく、そもそも、外国語は英語だけではありません。
そこで今回は、イギリス英語と、英語以外の主要な外国語の特徴についてまとめました。英語よりも学びやすいと言われるものもあるので、英語が苦手でも外国語ができないと思い込まず、興味のある国の言葉を積極的に学んでみましょう!
世界共通語として
現在、英語は世界中で使われており、日本語に方言があるのと同じように、英語も地域や国によって単語や発音などに違いがあります。そして、それらは大きくイギリス英語とアメリカ英語の2種類に分けられます。日本ではアメリカ英語を習いますが、ヨーロッパやイギリスの植民地だった国などではイギリス英語を習います。世界的に見るとイギリス英語を習う国の方が多いですが、人口ではアメリカ英語の方が多く、カナダのようにイギリス英語とアメリカ英語が混ざっている国もあります。どちらがより良いというものではありませんが、相手の使う英語がどちらを基本としているのかを知っていれば、会話がしやすくなります。どのような違いがあるのか確認しておきましょう!
「BBC Learning English」https://www.bbc.co.uk/learningenglish/english/は、イギリスの公共放送機関である「BBC(British Broadcasting Corporation・英国放送協会)」が運営する無料の英語学習サイトです。聞き取りやすい発音で、難易度や使用場面別に豊富な学習教材が用意されていますので、イギリス英語を本格的に学びたい人はぜひ利用しましょう。日本語には対応していませんが、子ども向けのアニメなど初心者にも理解しやすい教材もあります。おすすめのものをいくつか紹介します。
English My Way
初心者が日常会話を学習するためのコンテンツです。2分程度の短い映像を見て、簡単な質問に答えましょう。画面の下にある「Show transcript」をクリックすると、文章が表示されます。
Stories for Children
子どもが英語を学習するためのコンテンツです。5~10分程度の簡単なストーリーのアニメを見て、リスニングに慣れましょう。「Practice activities」をクリックすると、話の中に出てきた単語などの練習プリントがダウンロードできます。
https://www.bbc.co.uk/learningenglish/english/
イギリス英語とアメリカ英語には、使う単語が違うもの(表1)やつづり方が違うもの(表2)が数多くあります。いくつか例を挙げます。
イギリス英語ではhaveがよく使われます。
❶ have+過去分詞
イギリス英語では、過去に起こったことが現在まで続いている場合に用いる現在完了形(have+過去分詞)が多く使われます。
例)イギリス英語 / アメリカ英語
私は傘を忘れました。
I have forgotten my umbrella. / I forgot my umbrella.
あなたはペンを持っていますか?
Have you got a pen? / Do you have a pen?
❷ haveとtake
イギリス英語ではhave、アメリカ英語ではtakeが多く使われます。
例)イギリス英語 / アメリカ英語
「入浴する」have a bath / take a bath 「休憩する」have a break / take a break
イギリス英語は音をはっきり発音することと、下がり口調が多いことが特徴です。
❶ 「T」「A」「O」「R」の音
イギリス英語では「T」をはっきり発音し、「A」は「ア」、「O」は「オ」と発音します。例えば「water」は、アメリカ英語では「ワラー」のように聞こえますが、イギリス英語では日本語のカタカナ読みの「ウォーター」に近く聞こえます。「can」はイギリス英語で「カン」、アメリカ英語で「キャン」、「hot」はイギリス英語で「ホット」、アメリカ英語で「ハット」のように聞こえます。また、日本人が苦手と言われる巻き舌で発音する「R」の音を、イギリス英語では発音しない場合が多いです。
❷ 口調
アメリカ英語では「Yes.」か「No.」で答えられる疑問文には上がり口調が使われますが、イギリス英語では下がり口調が使われます。
複数の言語を使う国が多い
外務省によると、現在、世界には日本を含めて196の国があります。日本のように主にひとつの言語しか使わない国は少数派であり、世界の言語は国の数よりずっと多く、数千はあると言われています。ひとつの国で何種類もの言語を使うのが一般的で、複数の公用語(公共の場で使用する言語)が定められている国も多いです。
これらの様々な言語のうち、世界で最も広く使われているのが英語のため、日本でも小学校から高校まで必修教科として学びます。大学では、学部にかかわらず、第1外国語として英語、第2外国語として英語以外の言語を必修とするところが多いです。また、中学校や高校から第2外国語を学べる学校もあります。そこで今回は、英語以外の主要な言語で、日本でも第2外国語として選べる学校が多い、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語の6つを紹介します。
・
・
中国は世界で最も人口が多い国で、中国語を母国語とする人は10億を超えており、英語の次に話者が多い言語です。中国本土の他、世界各地の中国人コミュニティや東南アジアの一部でも使われています。急成長を続ける中国は、文化、政治、経済など様々な面で古くから日本とつながりが深い隣国であり、今や世界にも大きな影響力を持ちます。将来的には経済のトップ国になるとも言われており、中国語の需要は高まる一方と言えます。
中国語は方言が多く、文字も中国全土の標準語で使われる「簡体字」と台湾や香港などの広東語で使われる「繁体字」の2種類の漢字があります。どちらも日本とは字形が少し異なりますが、漢字圏の日本人には馴染みがあり、文法も簡単なため、他の外国語よりも理解しやすいとされています。対して、発音はとても難しく、音の種類だけではなく、声の上げ下げにも多くの決まりがあります。中国語を学ぶ場合は、発音に力を入れましょう!
中国、台湾、香港、シンガポールなど
おはよう 早上好(ザオシャンハオ)
こんにちは 你好(ニイハオ)
こんばんは 晚上好(ワンシャンハオ)
さようなら 再见(ザイジェン)
ありがとう 谢谢(シェシェ)
韓国は日本の隣国のひとつであり、日本への入国者数も中国に次いで2位となっています。主に朝鮮半島でしか使われていないため、世界的な需要は高くありませんが、韓国の映画やドラマ、K-POPなどの普及で日本では韓国語に触れる機会が多く、学びやすいです。地理的に近いため、留学や旅行がしやすく、覚えた言葉を実際に使う機会も得やすいでしょう。第2外国語として選べる学校も増え、近年、人気の言語です。
韓国語は日本人にとって最も簡単に習得できる外国語だと言われています。語順など文法がほとんど同じで、漢字がもとになっている語や外来語など全く同じ発音の単語も珍しくなく、日本語と共通点が多いのです。「ハングル」と呼ばれる記号のような文字は、一見難しそうでも、ローマ字のように母音と子音を規則的に組み合わせたものなので、コツを覚えればすぐに慣れることができます。英語に苦手意識がある人も、気軽に挑戦してみましょう!
韓国、北朝鮮など
おはよう/こんにちは/こんばんは
안녕하세요(アンニョンハセヨ)
やあ/じゃあね 안녕(アンニョン)
さようなら【見送る人】
안녕히 가세요(アンニョンヒカセヨ)
さようなら【見送られる人】
안녕히 계세요(アンニョンヒケセヨ)
ありがとう 감사합니다(カムサハムニダ)
ドイツは欧州連合(EU)で常に主導的な立場を担う国であり、EU圏内では英語やフランス語よりもドイツ語の方が多く話されています。おそらく今後もこの傾向が弱まることはないでしょう。近代において、科学、医学、文学、哲学、音楽など、文理を問わず様々な分野を牽引してきた国であり、学問研究でも重要な役割を果たす言語となっています。そのため、将来、興味を持った分野を突きつめようとする時、ドイツ語が必要となる可能性も高いと考えられます。
ドイツ語は文法が難しいことで知られています。名詞に女性、男性、中性の区別があり、それによって活用が変わるなど、細かい変化や決まりごとが多く、覚えるのに時間がかかります。ですが、文法の難しさに比べると、発音は例外が少なくローマ字読みに近いため、わりと簡単だと言われています。また、英語と同じ系統に属する言語なので、英語が得意な人にとっては学びやすいでしょう!
ドイツ、オーストリア、スイス、ベルギーなど
おはよう Guten Morgen(グーテン モルゲン)
こんにちは Guten Tag(グーテン ターク)
こんばんは Guten Abend(グーテン アーベント)
やあ Hallo(ハロー)
さようなら Auf Wiedersehen(アウフ ヴィーダーゼーエン)
ありがとう Danke(ダンケ)
フランスは豊かな文化と長い歴史を持つ国です。ヨーロッパだけではなく、カナダのケベック州や、かつて植民地だったアフリカ諸国など、多くの国でフランス語が使われています。また、国際連合やオリンピックの公用語にもなっており、英語に次ぐ世界共通語で、フランス語圏では英語が通じにくいことがあります。フランスの文化に興味がある人はもちろん、国際社会で活躍したい人にも大いに役立つ言語です。
フランス語は、文法も発音も日本人にはあまり馴染みがないため、難しいと感じることが多いと言われています。名詞には性の区別があり、活用の種類も多いです。また、フランス語は発音が美しいと言われることが多く、独自のルールがあります。ただ、他の言語に比べると覚える単語の数が少なく、人気言語のため、日本でも聞くことのある単語もあります。英語と共通する単語も多く、英語が得意な人であれば比較的学びやすいと言えるでしょう!
フランス、スイス、ベルギー、カナダ、コンゴ、セネガルなど
おはよう/こんにちは
Bonjour(ボンジュール)
こんばんは Bonsoir(ボンソワール)
やあ/じゃあね Salut(サリュ)
さようなら Au revoir(オ ルヴォール)
ありがとう Merci(メルスィ)
現在のスペインは大国とは言えず、国際社会においてもそれほど影響力を持ちませんが、アメリカ大陸が発見された時代は優れた航海技術を持つ国でした。そのため、中南米のほとんどの国では現在もスペイン語が使われており、母国語とする人が中国語の次に多い言語です。また、これらの国からはアメリカやヨーロッパへの移民が多く、スペイン語圏は広がり続けており、重要性を増しています。
スペイン語はヨーロッパの言語の中では日本人にとって比較的簡単な言語だと言われています。単語や文法などで英語と比べて特に難しいところはなく、基本的にローマ字読みのため、発音もしやすいです。英語の基礎的な知識が活かせて、英語よりも馴染みやすいスペイン語は、英語が得意ではない人にも学びやすい言語だと言えます。また、スペイン語を学ぶと、同じ系統に属するイタリア語やポルトガル語も理解しやすくなるため、多くの言語を学びたい人にもおすすめです!
スペイン、メキシコ、アルゼンチン、ペルー、キューバなど
おはよう Buenos días(ブエノス ディアス)
こんにちは Buenas Tardes(ブエナス タルデス)
こんばんは Buenas noches(ブエナス ノーチェス)
やあ Hola(オラ)
さようなら Adiós(アディオス)
ありがとう Gracias(グラシアス)
ロシアはヨーロッパとアジアにまたがる世界で最も広い国で、地理的には日本と最も近い隣国です。ですが、歴史的な背景から交流は少なく、長い間、近くて遠い国でした。しかし、ソビエト連邦崩壊後は交流が増え、北方領土など両国間の諸問題の解決に向けて、良好な関係を築こうとしています。母国語とする人がヨーロッパで最も多い言語でもあり、使う機会は増えていますが、学んでいる人はまだ少なく、希少性が高いと言えます。
ロシア語は、日本語とも英語とも異なる系統の言語であり、日本人が習得するのはとても難しいと言われています。アルファベットではなく「キリル文字」を使うため、文字から学ばなければなりません。文法や発音も馴染みのないものを覚えなければならず、かなりの時間が必要です。しかし、語順が自由に変化するなど、英語とは違っても日本語の感覚とは近いような部分もあります。ロシア語を学ぶことで新しい世界が開けるでしょう!
ロシア、ベラルーシ、カザフスタンなど
おはよう Доброе утро(ドーブラエ ウートラ)
こんにちは Добрый день(ドーブライ ヂェン)
こんばんは Добрый вечер(ドーブライ ヴェーチェル)
さようなら До свидания(ダ スヴィダーニャ)
ありがとう Спасибо(スパシーバ)
SEARCH
CATEGORY
よく読まれている記事
KEYWORD