数字や計算は嫌い、図形も苦手……こんな人、多いのではないでしょうか? でも、ユニークな特徴を持つ数やかたちを知れば、たちまち興味がわいてくるはず。「へぇ~!」「どうしてそうなるの?」。気にならずにはいられない不思議とびっくりがいっぱいです。算数や数学は皆さんの日常と共にあります。
1949年、インドの数学者D.R.カプレカ(1905〜1986)が発見した「カプレカ数」は、適当に出した数字にある操作をすると、最後は必ず同じ数字になるというマジックナンバー。4桁のカプレカ数は6174。必要な計算は引き算だけです。紙とペンを用意して計算してみましょう。暗算が得意なら紙とペンを使わずにトライしてくださいね。
循環小数とは、「0.33333333……」「2.2234234234234……」のように同じ数字の列を無限に繰り返す小数のこと。7分の1を小数で表すと、0.142857142857142857……と小数部分の142857を無限に繰り返す循環小数になります。この一見何の変哲もない数字に隠された秘密とは!?
完全数とは、その数字自身を除いた約数の和が、その数字自身と等しい自然数のこと。例えば「6」は、約数が1、2、3、6の4つ。6を除いた1、2、3を足すと「6」なので6は完全数。2020年3月までに見つかっている完全数は51個で、全て偶数です。「奇数の完全数は存在するのか?」「完全数は無限にあるのか?」といった疑問は、今も解明されていません。
アメリカに「素数ゼミ」というセミがいることを知っていますか? 13年ごと、17年ごとに大発生し、13と17は素数なので素数ゼミと呼ばれます。大発生の周期はなぜ13年と17年なのでしょう?
セミは、幼虫のあいだ数年~10数年間は地中で過ごし、地上に出て成虫になります。これを羽化といいます。地上に出てきた時、周りに仲間のセミがいなければ繁殖ができず、やがて種は滅びてしまいます。一方、たくさんのセミが同時期に羽化して地上に出てくると、オスとメスが出合う機会が増え、子孫を残しやすくなります。
周期がバラバラになると子孫を残しにくい
数百万年前のアメリカには、羽化の周期が12~15年と14~18年の2種類のセミがいて、度々大発生していたとみられています。例えばある年に、15年周期と18年周期のセミが大発生したとしましょう。15年周期ゼミと18年周期ゼミが*交雑して生まれた子は、羽化の周期が親ゼミと同じになるとは限らず、16年周期や17年周期になる可能性があります。このようにして周期がバラバラになると、同時に羽化する仲間のセミが次第に減っていきますから、オスとメスの出合いも減って子孫を残しにくくなります。つまり、周期違いのセミが同じ年に大発生して交雑することは、セミが種を保存して生き残るためには、マイナスに働くのです。
*同じ種ではないが、ごく近い種同士が交配すること。
なぜ13年と17年?秘密は「最小公倍数」
周期が違う2種類のセミが同じ年に大発生する現象がどれくらいのペースで起きるのか――。これは2つの数の最小公倍数でわかります。例えば、15と18の最小公倍数は90なので、15年周期ゼミと18年周期ゼミが同じ年に大発生するのは、90年に一度です。では、素数の場合はどうでしょうか?
素数17は、15との最小公倍数は255、18とは306です。ということは、17年周期ゼミと15年周期ゼミが同時に大発生するのは255年に一度、17年周期ゼミと18年周期ゼミだと306年に一度となります。15年周期ゼミと18年周期ゼミの90年に一度のペースよりかなり長いですね。複数の数字に素数が含まれると、最小公倍数が大きくなるのです。素数ゼミはこの特性を利用し、他の周期のセミとの交雑を避けることで厳しい生存競争を生き抜いているのです。
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こんな経験はありませんか? 長方形のカステラが、図のように残ってしまいました。これを同じ大きさで2つに切り分けたいのですが、ナイフを1回だけ使って分けるには、どのように切ればいいでしょうか?
①カステラは2つの長方形がくっついた形なので、2つの長方形に分けて考えます。
②それぞれの長方形に対角線を2本引きます。2つの線が交わる点「交点」を通るようにして直線を引くと四角形が2つできます。この2つの四角形は同じ面積なので、これを利用して……
③2つの長方形の交点を結ぶ線でカステラを切れば、全体を同じ大きさに分けられます。
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皆さんの机の上には今、何が置いてありますか? 教科書やノート、ペンや消しゴムなどでしょうか。新品の四角い消しゴムは、全ての面が長方形の直方体ですね。頂点の数は8、辺の数は12、面の数は6です。消しゴムのように、多角形(3つ以上の線で囲まれた平面図形)で囲まれた多面体には、ある決まった法則があります。
「頂点の数−辺の数+面の数」を計算すると、答えは必ず「2」になるというものです。これを「オイラーの多面体定理」と言います。消しゴムのかたち・直方体をこの式にあてはめると、「8−12+6」で答えは2。確かに2になりました。
もう少し複雑なかたちで確かめてみましょう。図のような星形の多面体があります。頂点の数は20、辺の数は30、面の数は12です。計算すると「20−30+12=2」。
サッカーボールはどうでしょうか? サッカーボールの頂点と辺、面の数はいくつありますか?
ヒント サッカーボールを展開すると正六角形が20個、正五角形が12個になります。
ルーローの三角形とは、正三角形の各辺を膨らませた形をした定幅図形のこと。定幅図形とは、平面上のどの角度から見ても幅が一定の図形のことで、円も定幅図形です。
このかたち、見たことがありませんか? もしかしたら皆さんの家にもあるかもしれません。ルーローの三角形は、ロボット掃除機に活用されています。その理由は、三角形の頂点にあたる部分が、円に比べると隅まで届くので、部屋を隅々まで掃除できるからです。効率よく掃除するためにこのかたちが採用されたのです。
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