日本語は世界一ことわざが多い言語だと言われています。世界各国にはそれぞれ、歴史や文化に根ざしたことわざがあります。その国ならではの言葉が使われていたり表現が独特だったり……と、ことわざからはその国の特徴や国民性が見えてきます。
世界のいろいろなことわざを知って、日本との共通点や考え方の違いなどを探ってみましょう。
※慣用句なども広い意味のことわざとしてとり上げました。
日本には約5~6万のことわざがあると言われ、海外には日本のことわざと同じ意味やよく似た意味で使われているものも数多くあります。それらの中から食べ物が入っているものを集めてみました。
日本の「海老で鯛を釣る」と同じ意味。わずかな労力で大きな収穫や利益を得ることです。ベーコンやソーセージが登場するところが“ドイツ風”です。
「楽あれば苦あり」にあたる言葉です。人生には楽なこともあれば苦しいこともあり、楽ばかり続くことはなく苦ばかりということもない、という教え。アラビア語圏では“楽”=ハチミツ、“苦”=タマネギとしているところがおもしろいですね。
「花より団子」を英語で表すとこうなります。英語では、Bread is better than the songs of birds.
Pudding before praise. もよく使われるフレーズです(praise=賞賛・ほめること)。直訳すると「賞賛よりもプディング」となり、お腹の足しにならないほめ言葉より実益があるプリンの方が良いということ。国は違っても考えることは皆、同じです。
「猫に小判」「豚に真珠」などと同じ意味。そのものの価値や扱い方がわからない人や、それを得るに値しない人に何かを与えることの無意味さを表しています。スポンジケーキのふわふわの食感や、はさんであるジャムの香りがわからないロバに、それをあげる価値はない、ということ。
ここでは、日本とは異なる価値観や国民性が表れていることわざを紹介します。日本人にとっては当たり前の考え方が他の国では通用しない場合も。ことわざからその国の一面を覗いてみましょう。
文句や不満など思っていることがあるなら、声に出して言わないと誰にも気づいてもらえない、黙っていたら注目されないという意味。はっきり自己主張することを重んじるアメリカらしいことわざと言えます。
これと逆の意味を持つ日本のことわざは「出る杭は打たれる」。出過ぎたふるまいをすると非難されたり憎まれたりして制裁を受けるという意味で、自己主張するよりも全体の調和を優先する日本人の国民性が表れたことわざと言えるでしょう。また、日本には「以心伝心」「言わぬが花」のように言葉を介さない意思疎通を美徳とする傾向も。こんな日本人特有の奥ゆかしさは、アメリカ人には理解しにくいかもしれません。
意味は、鍛冶屋になるには、鉄を打ちながら技術を習得していけばいい、準備をしたり基礎を習ったりするより、まずはやってみて感覚をつかむことが大切だということです。
これに対し日本には「転ばぬ先の杖」「石橋を叩いて渡る」という言葉があるように、何をするにもしっかりと準備することが大事と考える風潮があります。日本人はそれだけ用心深く、慎重に行動する国民性だと言えますが、フランス人は仕事や技術をいち早く身につけるには、基礎や理論を学ぶよりもいざ実践、経験を積み重ねることが最善の方法だと考えているのです。
将来の大きな得をとるよりも、小さくても目の前にある確実な得をとる方が良いという意味。日本のことわざ「損して得とれ」(今は損をしても、それが将来の大きな利益につながるのなら、目先の小さな利益は捨てて、後の大きな利益を得よ)とは正反対の意味です。「今が一番大事」と考えるイタリア人的感覚がうかがえることわざです。
最後にとり上げたのは、すぐには意味がわからないユーモラスなものや、人生訓を与えてくれることわざです。どんな意味があるのか、イマジネーションを働かせて考えてみましょう!
日本語の「飛んで火に入る夏の虫」(自分から進んで危険や災難の中に飛び込んでいくこと)にあたります。豚の好物であるカボチャをかぶって豚小屋に入るのは、自ら危険に身をさらす行為だということ。
どんなに偉い人も地位が低い人も亡くなれば皆同じ、人生の誕生と終わりは平等であるということです。
「イライラさせないで!」という意味。
困った時は自分で解決しなさい、ということ。ロシア流の戒めの言葉です。
失敗しても望みはあるということ。悲観的になり過ぎないようにという教え。
何か言いたいことやしたいことがあるのに、実際にはものごとの核心には近づかず、発言もしない人のこと。
意識しなくても仲間同士は似てくるもので、人間は近くの人を見て学びながら成長していくという意味。良くも悪くも一番近くにいる人の影響を受けやすいので、どんな人とつき合うかは非常に重要である、ということです。
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