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わたしの勉学時代

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離島を歩き、想いを馳せる

最近はなかなか時間を割けずにいますが、私は離島めぐりが好きです。
これまで、鹿児島県は奄美群島の奄美大島や与論島、長崎県の対馬や五島列島などを訪れました。島では、ゆっくりと海岸線を歩いたり、古い神社や寺院などを訪ねたりして過ごします。そして、かつてそこに人の自由な行き来きを阻害する境のあったことに想いを馳せます。奄美大島と沖縄は、戦後共にアメリカの施政権下にありました。
1953年に奄美大島が本土復帰した後、沖縄返還が実現するまでに要した歳月は約20年です。沖縄の北へ行くと与論島が見える場所があるのですが、そこへ立った時は「昔、家族や親戚と引き裂かれ、悲しい思いをした人もあっただろう」と考えました。
離島で暮らす人々の生活がどれほど大変かなど、現地での様々な体験を通して学ぶことが多々あります。ふだんとは違う時間の流れに身を置き、物事にじっくりと向き合えば、気持ちも落ち着き、頭の中を整理することができます。
 そんな私の生まれは長崎県佐世保市です。
佐世保市には*九十九島があります。幼い頃は、たくさん島のある風景を当たり前のように思っていました。当たり前すぎて、大人になって離島めぐりが趣味になるなんて、昔は考えてもみませんでした。
*西海国立公園に指定されているリアス式海岸の群島。
「九十九」には「たくさん」の意味があり、大小208の島々で成り立つとされている。
島の密度は日本一。

 

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子ども時代は、親戚の船に乗せてもらい魚釣りをした記憶もあります。小学生の頃は町内のソフトボールチームに参加するなど、体を動かすことも大好きでした。

「働くこと」と、技術の時代

私の父は塗装業を営んでいました。自宅に小さな店舗が併設されていたので、仕事に臨む父の姿がいつも身近にありました。
どんな時でも仕事が一番の職人気質で、たまに家族で遊びに出かけた先でも「あの建物だったら、こんな色のペンキで塗って。うちの職人が数人で取りかかれば、何日で仕上げられるかな」などと考え始めるんです。そんな父の口癖は「これほどまでにやりがいのある仕事はない」でした。「好きなことをして、お金を頂ける上に、お客様に感謝までしてもらえるのだから」と語る父から、今思えば「働くって楽しいことなんだ」ということを自然と学んでいたのでしょうね。
 
私は4人兄弟の末っ子で、一番上の姉とは12歳も離れていました。
愛情を受けて伸び伸びと育ったためか、物怖じせず新しいことにチャレンジする子どもだったようです。絵画や習字、そろばん教室などに誘われるまま通い始め、あまり上達はしなかったものの、それが理由で心が折れることはなく、どれも楽しんで続けていました。
小学4年生の頃からは、担任の先生に誘っていただき学校の器楽部に入部。課外活動でバイオリンを始めました。それまで楽器を一度も触ったことがなく、一曲弾くのに大変苦労したものです。周りは上手な子どもばかりで、自分の不器用さを痛感しましたが、先生に誘ってもらえたことが何よりも嬉しくて、楽しくて続けていたことを覚えています。他人と比較して「自分はだめだ」と諦めるよりも、楽しい気持ちが勝っていたのでしょう。
 
そんな私が初めて将来について考えたのは、中学生の時です。担任で理科の山口先生が「これからは技術の時代だ。工学系の学校に進学すると面白いぞ」と熱弁されていたのを、漠然とですが「いいな」と思いました。日本はちょうど高度経済成長期の真っただ中で、技術の発展が目覚ましかった時代です。それまで、理系の勉強と将来の職業とを結び付けて具体的にイメージしたことがありませんでしたが、先生の話を聞き「面白そうだから技術者になりたい」と思いました。


先生の助言を受け大学進学へ

技術者になるため、初めは佐世保工業高等専門学校へ行くつもりでした。
しかしその時、私が特定の分野に強い興味を持つことができなかったため、山口先生から「大学へ行き、学びの幅を広げておいたほうがいい」と言われ、長崎県立佐世保南高等学校への進学を決めました。高校受験のために、特別に何かをしたということはありません。
日々の授業を大切にして定期考査に臨む、その繰り返しでした。数学だけは私塾に通っていて、そこの先生の解説がとても“エレガント”だったのを覚えています。先生の示される解法は、すんなり納得できるものばかりで面白く、数学がどんどん好きになっていきました。
中学時代は数学と英語が特に好きでしたね。
 
佐世保南高校は進学校ではありましたが、旧制中学校時代の気風を受け継いだのか、生徒の自主性を大事にする自由な学校でした。家から徒歩ですぐの場所にあったので、とても通いやすかったです。部活は写真部に入りました。当時はフィルム写真でしたので、その場で撮ったものを確認できません。構図を決めて、光の具合を確認して、慎重にシャッターを押しました。私がモデルによく選んだのは地元の風景です。佐世 保の教会では、祈りを捧げている人を撮ったこともあります。フィルムは学校の暗室で現像しました。
最後まで自分たちで作業をするので達成感がありました。
 
京都大学を受験する際には、高校の先生方が大変熱心に応援してくださいました。当時の佐世保南高校には京大合格の実績があまりなかったのですが、情報が少ない中で適切な問題集を選んでいただき、丁寧に添削までしていただいたことを覚えています。同級生の仲間たちとは、共に受験に向けてがんばったり、よく遊んだりと良い思い出をたくさんつくりました。恵 めぐまれた高 校生活を送ることができ、幸運だったと思います。
京都では学生が集まる下宿に住みました。隣となりの部屋の音が筒抜けの環境でしたが、いろいろな大学に通う同年代と交流できて楽しかったです。
京都は学生が住みやすい町でした。

 

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中学時代、バレーボール部に入ったのも、生徒会で書記を務めたのも、山口先生を通して「面白い」と思ったことがきっかけです。先生とは、その後も親しくさせていただきました。

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小学校の器楽部でバイオリンを演奏する尾家先生(写真右・前列右)と、祭りで神み 輿こしを担かつぐ先生(写真左・手前右)。

技術と心のバランスが大事

私が進学した京都大学工学部数理工学科は、一言で表すと理論を学ぶところです。得意な数学を社会に応用できる術を模索していこうと思い選びました。分野を絞らないので間口の広い学問です。専門分野との出合いは大学院時代、数学をネットワークに応用する講座に入ったことがきっかけでした。当時はインターネットが無く、その基礎研究が行われていたところで、未だ見ぬ世界を「面白そうだ」と感じたからです。好奇心の赴くまま、新しいことに取り組む性格は、子どもの頃から変わりませんでした。
この世界へと導いてくださった宮原秀夫先生(工学博士。第15代大阪大学総長)には大変感謝をしています。
 
今や欠かせない存在となったネットワークの世界。その黎明期において研究に携われたことは、大変感慨深いことです。これまで研究に携わってきたネットワークが、このように社会に浸透してきたことを嬉しく思います。しかし一方で「人の心が、技術に置き去りにされる」危機感も抱いています。時に技術は、私たちの理解や感情を待たずに進歩します。人をサポートするための技術が、人の心をのみこみ、支配してしまうこともあることを知っておきましょう。扉を開ければ隣の部屋につながっているのが現実ですが、世界中とつながっているのがネットワークです。ネットワーク上で、私たちは簡単に境界を飛び越えることができ、国や人同士を強く結びつけることができます。今までつながることができなかった国や文化、人とも気軽につながることができるのです。
だからこそ、考え方、感じ方の違いを客観的に理解して、“共感”する力が必要なのではないでしょうか。
ネットワークを利用する際は、技術と心のバランスを大事にしたいですね。

知識と技術は興味の副産物

小中高校時代において最も大事なことは、興味を持つことだと思っています。
知識や技術の獲得は、興味の副産物です。
「知りたいな」「できるようになりたいな」という気持ちさえあれば、知識や技術は自然と得られることでしょう。
そして、そのきっかけを与えてくれるのは、皆さんの周りにいる大人たちです。
いろいろな場所へ連れて行ってくれたり、話をしてくれたりする中から、「面白そう」と思えるものが出てくるはずです。
それらを探究していってください。
たくさんある興味の中から、将来につながるテーマが見つかったなら、とても素晴らしいことだと思います。

九工大から世界へ

「国際社会で活躍し続けられるための学びと経験を、大学ではサポートしていきたい」という尾家先生。そのサポートを代表するのが、国際交流プログラムの一つである海外派遣プログラムです。夏季休暇や春季休暇などを利用して、海外の大学や企業で研修を行います。1年次から参加でき、異文化交流から語学研修、研究交流まで、多彩なプログラム内容から自分に合ったものを選べるのが特長です。以前は数十名程度の参加であったのが、昨年度は500名を超える(在学生10名のうち1名程度)学生が海外へ行きました。休暇を利用するプログラムなので参加しやすいと好評です。
また、海外の企業で就業体験をする海外インターンシップでは、大学や企業から費用の補助も受けられ(国や企業により金額は異なる)、学生が積極的に参加できる環境が整っています。


 

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海外インターンシップの様子。シンガポールの企業で地下鉄工事に携わったそうです。大規模プロジェクトに参加する機会があるかもしれませんね!

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