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わたしの勉学時代

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命を愛しみ育てる両親の姿

現在の愛知県稲沢市、かつては中島郡と呼ばれていた地域が、私の生まれ故郷です。
濃尾平野が広がり、そこを木曽川が悠々と流れている、そんなのどかな風景を思い出します。近所には、菜種油を収穫するための菜の花畑が広がっていました。
春、一面黄色の花の海になるのですが、その中に中学校の校舎が建っているのが見えました。本当に美しい眺めでしたね。今では見ることができなくなってしまった故郷の風景ですが、心の中にずっと残っています。
実家は農家で、父も母もほとんど休みなく畑仕事へ出ていました。勤勉で、仕事に対しても真面目な両親でした。そのため、家族で遊びに出かけた記憶はありません。
そして、子どもの私は、それを当然のことと受け入れていたものです。毎日やることが多くて忙しく、大変な作業も多かったはずですが、二人からはいつも作物への愛情を感じていました。愛しみながら大切に育てている姿を、それに応えてすくすくと美味しく育つ作物を見続けてきた私もまた、命あるものに対して関心を持つようになりました。
今でも、学長室で植物を大切に育てているのですよ。愛情をかけて育てた鉢植えが、冬を乗り越えて芽を出し、花を咲かせてくれると本当に嬉しいものですね。 京都教育大学のキャンパスでは、四季折々の植物を楽しむことができます。春になるとウグイスが美しい声を聞かせてくれます。 そういった身の回りの些細なことに関心を向け、「癒されるなあ」と思えることに、とても感謝しています。

 

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遠くに山並みを望む平野で育ちました。大学進学で京都に移り住んだ時、すぐ近くに山があることに大変驚いたのを覚えています。

課外活動と自身の成長

小学生の頃は読書を好んでいました。
特に冒険物語が大好きで、マーク・トウェインの『トム・ソーヤの冒険』や『ハックルベリー・フィンの冒険』などに夢中だったことを覚えています。迷い込んだ洞窟から抜け出すシーンには心が躍りました。
文章を書くことも苦くにはしていなかったようで、高学年時には新聞部に入って記事を作っていました。
課外活動といえば、中学時代には美術部とサッカー部の二つのクラブを経験しました。
サッカーを始めたのは2年生からです。学校の方針で「体を鍛えるように」と指導されたからでした。強制されたという印象はなく、楽しく活動していました。当時は野球人気が絶大でしたので、サッカー未経験者という生徒がほとんど。
私も初心者でしたが、練習を重ねるうちにボールの扱い方も上達して、強いボールを蹴ったり、パスを受け止めたりできるようになりました。 自身の成長を感じられて嬉しかったですね。


生物学系の研究者を志す

中学生になると、数学や理科など理系科目を好きになりました。そして生物学系の研究者になりたいと考えるようになりました。初めて将来の夢を抱いたのは、この頃だったと思います。今振り返ってみると、両親の姿を見て、作物に関心を持ったことが下地にあったように思います。他にも、 用水路の澄んだ水を泳ぐ魚を眺めたり、水の引いた用水路に入り込んだ野ウサギを捕まえようとしたり、生き物たちにも親しんで育ちました。
古代の生物にも興味があり、 よく化石発掘にも行っていました。岐阜県は金生山や伊吹山に行くと石灰岩の地層があって、フズリナという名前の有孔虫(原生動物)の化石などを発掘したものです。犬山市には善師野という場所があって、そこでメタセコイヤの葉の化石を見つけたこともありました。また、ちょうど同じ頃に、ワトソン・クリックのDNA二重らせん構造が話題になっていたのですが、分子レベルで遺伝のしくみを説明できると知り、大変感動したことを覚えています。それらの経験が、生命への好奇心につながっていったのでしょう。
私が進学した愛知県立明和高等学校は、県内でも有数の進学校です。出身中学からは毎年成績上位の1~2名が合格する難関校でしたが、「大学に進学するため」と自ら志望しました。高校受験に際しては、まず教科書を読み返し、その内容をしっかりと復習することを大切にしました。入試とはいっても、中学校の学習範囲を逸脱するような出題はないはずですので、「教科書の内容を必ず頭に入れておく」ことを重視していたからです。
皆さん一人ひとりに合った勉強方法があると思いますが、私の場合はこれが効果的でした。

 

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高校1年生の時、担任の先生に紹介していただいた『生命を探検する―分子生物学入門』(坂井孝之・小枝一夫/講談社)という本も、私の将来に影響を与えました。

「わかった!」体験の大切さ

高校進学直後、それまでさほど勉強には苦労してこなかった私は、初めて危機感を抱きました。
初めての中間考査の順位が、想像以上に悪かったのです。勉強をさぼったわけではなく、直前にはちゃんと復習も終えて受けたテストでした。「これはいけない」と焦る気持ちが生まれ、電車通学の時間に自作の英単語帳を見て暗記に励むなど、勉強方法を見直すことにしました。良いきっかけになったと思います。
高校2年生になって苦労したのは物理と化学です。特に、物理はどうしてもわからないところがありました。
そこで、中学校の先生を訪ねるついでに、物理を教えてもらおうと考えました。先生は「おれも物理はそれほど得意じゃないよ」と苦笑しながらも、「よし、じゃあ一緒に考えてみよう」 と言って勉強を手伝ってくださいました。一度きりのことでしたが、それがきっかけとなって、基礎をつかむことができたのです。一度「わかった!」を体験すると、それが教科を好きになる入口になります。
今勉強をがんばっている皆さんにも、たくさんの「わかった!」を体験していただきたいなと思います。私は「分子生物学が学べる大学に行く」ことを目標に、高校時代を過ごしました。そして、志望大学を検討する中で、京都大学に生物物理学教室が創設されたことを知ったのです。その分野では有名な先生方が名を連ねているのを見て、「京都大学の理学部に入りたい」と考えるようになりました。 しかし、現役で受験した時は、過去問題を十分に分析せずに挑んだため、力を発揮できないまま終わってしまいました。
一年間浪人生活を送ったのですが、予備校の授業は学校とはずいぶんと違っていたことに驚いたのを覚えています。
過去問題の研究・分析は大切ですね。二度目の挑戦で無事合格できました。

自ら調べ、動くことが力に

免疫学とは、学部の特別講義を通じて出会いました。
その講義では抗体をつくる細胞を見えるようにする実験、大腸菌に感染するウイルスの実験など、学生でもわかるような簡単なものに取り組んだのですが大変感動したことを覚えています。これら の実験の中で、私は免疫学の村松繁 しげる 先生の ことを知り、大学院へ進む決心をしました。私の研究生活は、すべてが順風満帆だったわけではありません。
困難な時も、自ら動いて道を切りひらいていきました。そもそも、京都大学の授業そのものが、学生の自主性任せでしたね。
自ら調べ、学生同士で討論し、それでもわからない時は教授に尋ねるといった流れです。
知識をただ与えられるわけではないので、「どうしても知りたい」という欲求が学びの原動力となっていました。今でいうところのアクティブ・ラーニングですね。その時の経験が、研究でも役に立ったのではないでしょうか。
その上で、人との出会いにも恵まれました。博士課程の途中で運良く京都府立医科大学の助手のポストに進めたことも、カナダのトロント大学の免疫学研究所に勤めること ができたのも、周囲の理解や協力があったからこそだと思います。
京都教育大学との縁ができたのも、生命科学専攻の専任の話を薦めていただいたからです。有り難いで すね。

“興味のアンテナ”を張って

教員を志す皆さんには、教え子たちに「勉強してよかった!楽しかった!」と思ってもらえる授業ができる先生になっていただきたいと、常々思っています。一言で表現しましたが、とても難しいことですね。これを実現するためには、教員になった後も常に学び続けなければなりません。子どもたちには一人ひとり個性がありますので、きめ細やかな準備も必要です。
しかし、その努力と豊富な知識こそが、好奇心の塊である子どもたちの「不思議だな、なぜだろう?」「もっと教えてほしい!」を必ず引き出してくれます。学び続けなければならないのは、どの職業においても言えることだと思います。関塾生の皆さんには、ぜひ“興味のアンテナ”を張っていただきたいですね。身の回りには不思議なことがたくさんあります。
それらをキャッチして「知りたい!」と思えることに出会ったならば、自分でどんどん追究してみましょう。
ひょっとすると、将来の目標につながるかもしれませんよ。

時代に合った教員の育成

京都教育大学は、教員養成の単科大学です。子どもたちの「不思議だな、なぜだろう?」を引き出せる、現代の教育的課題を解決できる力を持った教育のスペシャリストを育むため、専門的なカリキュラムを用意しています。「理系」教科の学力向上は重要課題の一つであり、解決のためには教員の豊かな知識と経験が必要です。同大学では、理系教員スペシャリストを養成するためのカリキュラム開発に取り組んでいます。「リケスペ(理系教員スペシャリスト)」は中学校・高等学校の理系教科の内容に精通し、わかりやすく指導するためのカリキュラム群です。「リケジェネ(理系教員ジェネラリスト)」は、小学校の理系教科を、子どもたちの興味を引き出せるように指導するためのカリキュラム群です。カリキュラムを通して目指す教員像が明確になる、教員養成専門大学ならではの魅力的な教育環境ですね!


 

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大学教員が、学生たちに科学の魅力を伝える「ソレカナ(「それはかなう夢」講座)」も評判です。全学年対象の開かれた講座ですので、誰でも気軽に参加できます。

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