世界の子どもたちに、算数をゲームやスポーツと同じように楽しんでもらいたい――算数オリンピックは、こんな願いのもと誕生しました。国境・言語・人種の壁を超え、地球上のすべての子どもたちが、算数という“万国共通”の種目で思考力と独創性を競い合う「小学生・中学生の知の祭典」、それが算数オリンピックです。1992年に第1回大会が行われてから毎年開催されており、第30回目となる今年は、トライアル地方大会が6月13日に、ファイナル決勝大会は7月18日に行われる予定です。
今回は、算数オリンピックの種目や、過去問題を紹介します。気軽にトライしてくださいね!
世界的数学者・広中平祐氏が提唱
算数オリンピックを提唱したのは、広中平祐氏(1931年生まれ。京都大学理学部卒業。京都大学名誉教授、ハーバード大学名誉教授)。数学界のノーベル賞と言われるフィールズ賞と、文化勲章も受賞している世界的数学者です。毎年、算数オリンピックの大会会長を務め、未来を担う新しい才能と人材を発見することを楽しみにしているそうです。
スタートした当初は、小学6年生を主な対象とした算数オリンピック1種目だけでしたが、現在は対象学年によって5種目に分かれています。
それぞれ、トライアル地方大会とファイナル決勝大会の2段階に分けて実施され、トライアル地方大会を通過しなければファイナル決勝大会には進めません。ファイナル決勝大会進出者(ファイナリスト)には認定証(キッズBEEファイナリストにはメダルも)が授与され、キッズBEE以外の4種目の入賞者にはメダルやトロフィーなどが贈られます。
ゲームやスポーツに参加する感覚でチャレンジしてみませんか?
大会種目
●キッズBEE(小学1~3年生対象)
未就学児童は参加できません。
●ジュニア算数オリンピック(小学5年生以下対象)
小学5年生以下なら誰でも参加できます。
●算数オリンピック(小学6年生以下対象)
小学生なら誰でも参加できます。
●ジュニア広中杯(中学1・2年生対象)
中学1・2年生のみが参加できます。
●広中杯(中学3年生以下対象)
中学生なら誰でも参加できます。
※出場できるのは1種目のみです。
くわしくはこちら↓
https://www.sansu-olympic.gr.jp/
一般財団法人 算数オリンピック委員会
【問題1】
□の中に1~11の数字を1つずつ入れて、たて、よこの計算式を完成させなさい。(4、7、8、11はすでに入っています)
〈2009年度 ジュニア算数オリンピック トライアル問題〉
【問題2】
0~9が書かれたカードを1枚ずつ、よこ一列に並べました。
すると、どのとなり合う2枚のカードを見ても、その差は3か5のどちらかでした。
上のように、左端が0、右端が1のとき、残りの8個の数字を正しく並べなさい。
〈2016年度 算数オリンピック トライアル問題〉
【問題3】
たて、よこ、ななめの3つのマス内の数字の和がすべて異なるように、0~8を各1個ずつ入れます。
黄色の4つのマスには奇数の数字を入れます。
いま、0、3、6が図のように入っています。
このとき、残りの1、2、4、5、7、8を入れなさい。
〈2012年度 算数オリンピック ファイナル問題〉
【問題4】
半径2の円を7個、図のように外接させます(どの円も2つ以上の円と外接しています)。
さらに、図のように正三角形を円と接するように描くとき、大きい方の正三角形と小さい方の正三角形の周の長さの差を求めなさい。
〈2017年度 ジュニア広中杯 トライアル問題〉
【問題5】
下の7つの □ には同じ数字が入り、5つの ■ にも同じ数字が入ります。
ただし、入る数字は、1、2、3、4、5、6、7、8、9のいずれかです。
文章が正しくなるように、空欄に数字を補いなさい。(答えは1組の例だけでよい)
〈2017年度 ジュニア広中杯 ファイナル問題〉
問題1の答え
解説
下図のように空欄のマスに入る数字をア~キとします。
ア~キの中で10である可能性があるものはイとオとカです。
◆イが10の場合
4-ア+10=11より、アは3とわかります。
アが3なので、3+エ=7より、エが4となります。
しかし、4はすでに入っているので、イが10ではないとわかります。
◆オが10の場合
オが10とすると、ウ+エ=18です。
しかし、すでに11と10と8が使われているためにウ+エは最大でも、
9+7=16にしかなりません。よって、オも10ではないとわかります。
◆カが10の場合
4+ウ=10より、ウが6とわかります。次に、イは8より大きい数のはずです。
8より大きい数で使われていないのは、9しかないので、イは9とわかります。
すると、9-8=キなので、キが1とわかり、4-ア+9=11より、
アが2とわかります。
最後に、2+エ=7より、エが5とわかり、6+5-8=オより、
オが3とわかります。
問題2の答え
解説
それぞれの数からつなげられる数を表したのが、下の図です。
ここで、2、7、8、9は両端ではないので、上の図を見ると、10枚の並び方のどこかに、「527または725」「274または472」「385または583」「496または694」の並びがすべて入ることがわかります。
これに注意すると、「38527496または69472583」の並びが入ることが決まります。
左端が0、右端が1なので、これにうまくつながるのは、「38527496」となります。
問題3の答え
解説
空欄にA~Fを入れて考えます。
黄色のマスには奇数が入るので、B、D、Eには、1、5、7が入ります。
ここで、すべての和が異なるので、B+C+Eと、3+C+Dも異なります。
つまり、B+Eと3+Dは異なります。よって、Dには5が入りません。
◆D=7の場合
BとEには1と5が入ります。よって、B+E=6となります。
すると、0+C+6=B+C+Eとなってしまい、題意を満たしません。
◆D=1の場合
BとEには5と7が入ります。また、A+C+F=2+4+8=14です。
そのため、Cが2の場合は、B+C+E=14となり、Cが8の場合は、
0+8+6=14となり、題意を満たしません。よって、C=4と決まります。
次に、E=7の場合、6+D=0+Eなので、6+D+F=0+E+Fとなってしまいます。よって、E=5とわかります。
このことから、残りの7はBに入ります。
残ったAとFを考えると、A=8、F=2のときのみ、題意を満たします。
問題4の答え
12
解説
大きい方の正三角形と小さい方の正三角形には、下図のように半径2の円が接します。
図に赤い線で示した三角形は合同なので、2つの正三角形の一辺の長さの差は、線分BCの長さと線分GHの長さの差、すなわち、円の直径4に等しく、周の長さの差は、4×3=12となります。
問題5の答え
□=6 ■=7
□=8 ■=3
□=7 ■=8
※どれか1組を答えればよい。
解説
196=14^2に注目して、 □ を6とすると、
11桁の数は7の倍数である必要がありますが、
60606060606=60606×1000001=7×8658×1000001が
7の倍数であることと、101010101が7の倍数でないことから、
■ は7としなければなりません。
このとき、67676767676=196×345289631より、
与えられた文章は正しいことがわかります。
よって、空欄に補う数字として、 □ =6、 ■ =7が見つかります。
※他に、 □ =8、 ■ =3と □ =7、 ■ =8があり、
これ以外にはありません。
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