著作権とは、小説や音楽、動画やアニメといった創作物(著作物)を創作した人に与えられる、自分の著作物を無断で複製(コピー)されたり、インターネットなどで勝手に利用されたりしないための権利です。
「なんだかよくわからない」「自分には関係ない」と思うかもしれませんが、私たちの生活には様々な著作物があふれており、皆さんがつくったものも著作物になります。また、誰でもインターネット上で簡単に自分の創作物を公表できるようになった今、著作権を侵されたり、反対に侵したりしてしまうこともあります。実は身近な権利である著作権について、きちんと知って、ルールを守って正しく著作物を扱いましょう。
まずは、著作権や著作物とはどのようなもので、どのような目的があるのかを学びましょう。
著作権は、「知的な創作活動によって何かをつくり出した人に対して付与される、他人に無断で利用されない権利」である「知的財産権」のひとつです。
中でも著作権は、著作物がつくられた時点で自動的に与えられる権利です(*1)。著作権を持っている人は「著作者」と呼ばれ、他人から自身の著作物を利用したいと依頼された際に、条件をつけて利用を許可したり、拒否したりできます。ただし、いくつかの場合においては、著作者の許可を得なくても著作物を自由に使用することができます(詳しくは後述)。
*1発明を保護する権利である「特許権」などは、権利を取得するために申請や登録をする必要があります。
著作物とは、わかりやすく言えば「自分の考えや気持ちを、他人の真似ではなく自分で工夫して言葉や文字、形や色、音楽などによって表現したもの」になります。この定義にあてはまるものはすべて著作物となり、作品のクオリティなどは関係ありません。例えば、皆さんが学校の授業で書いた作文や家で描いた絵なども著作物です。誰のどのような作品であっても「自分で創作」したものは、基本的に著作権を有した著作物になります。
著作権制度は、文化の発展を後押しするために設けられました。著作権が守られていれば、著作者は著作物の利用者から使用料を得ることができ、報酬をもとに新たな著作物を生み出すことなどができます。その結果、私たちは、小説を読んだり、音楽を聴いたり、ドラマやアニメを楽しんだり、文化的に豊かな生活を送ることができるのです。私たち一人ひとりが著作物を正しく扱い、著作権を守ることが、著作者の努力や苦労に報いることになり、さらに文化が発展していくという大きな流れを生み出すのです。
次に、どのようなことをすると著作権の侵害になるのか、著作物を利用するにはどうすればいいのかを確認しましょう。
近年、インターネット上での著作権トラブルが増えています。皆さんも気づかないうちに誰かの著作権を侵害しているかもしれません。知らなかったではすまされず、未成年者でも訴えられる可能性があります。気軽に使えるからこそ注意したい、インターネット上で起こりやすい著作権侵害について、きちんと知っておきましょう。
●許可のない公開・アップロードは違法
テレビ番組や映画、ライブ映像、または音楽や書籍の画像などを著作者の許可なくインターネット上に公開・アップロードすることは違法です。また、違法に公開・アップロードされたと知りながらダウンロードした場合も、違法とみなされます。
●アイコンへの利用も著作権侵害に
SNSで自分のアイコンに、アニメのキャラクターや芸能人の写真などを使ったことはありませんか? 非公開アカウントでもアイコンは公開されるため、これらの無断使用は違法です。特に「人」の写真は「肖像権の侵害」にもあたる可能性があります。
●切り抜き動画も違法
SNSで増えている、テレビ番組やアーティストのライブ動画などの一部を編集した「切り抜き動画」の公開も違法です。公開した本人が未成年だったり、元の動画が無料だったりしても著作権の侵害にあたります。
他人の著作物を使用する際は、正しい手順で著作者の許可をもらい、著作権を守る必要があります。次のステップで確認を進め、使用の許可をとりましょう。
次の5つのケースにおいては、著作権者の許可がなくても著作物を自由に使うことができます。
①私的な使用のための複製
「私的利用(個人的、または家庭などの限られた場所での利用)」であれば許可がなくても複製できます。例えば、テレビ番組などを自分や家族がもう一度観るために録画することは私的利用の範囲にあたるため、使う本人による複製であれば問題ありません。ただし、その録画したビデオなどを他人に貸すことは禁止されています。
②図書館での複製
公共図書館など政令で定められた図書館では、調査・研究などの目的であれば、次のルールを守ることにより、館内で資料の複製ができます。
◦コピーできるものは図書館内の資料のみ
◦資料の全ページのコピーは不可
◦コピーは1人1部のみ
◦コピー申し込み書に記入する
③自分の著作物に引用する場合
自分の著作物を説明するために、他人の著作物などを持ってくる「引用」にあたる場合は、許可がなくても使用できます。例えば、自分の論文に他人の論文の一部を引用することができます。ただし、引用には次の条件が求められます。
◦引用する必然性(それ以外にありえない要素)がある
◦報道、批評、研究など正当な目的である
◦自分の文が中心で、引用する文はその一部であるということがはっきりしている
◦引用した部分を「 」でくくるなど、自分の文と引用文とをはっきりと区別する
◦引用してきた論文などの題名・著作者名・出版社名・引用した部分が掲載されているページ数などを示す
④教育機関での複製
学校などで先生・生徒が教材をつくったり、授業で発表したりするためであれば複製できます。ただし、ワークブックなど、各生徒の購入を前提に販売されているものは複製できません。
⑤非営利(無料)で上演・演奏する場合
「営利目的ではない」「入場料が無料」「出演者に金銭など報酬が支払われない」という3つの条件を満たせば、著作物の演奏・上演・上映・口述などが可能です。
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