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2019年3月号 特集②

英語攻略のカギは語彙力

 英語攻略の第一歩は、語彙力を身につけることです。複雑な長文であっても、単語さえわかれば、それをきっかけにして意味をつかむことができますね。
 では、皆さんは、どのくらい英単語を覚えればいいのでしょうか。新学習指導要領を見てみると、小学校から高校までに最大で3100語を学習することになっています。志望校によっては、さらにたくさんの英単語を覚える必要があるでしょう。3100語は途方もない数に思えますが、決して不可能な目標ではありません。コツをつかんで効率良く覚えていきましょう。

mission1 英単語の効率的な覚え方を身につけよう

英単語の覚え方

 英単語を覚えるカギは、「発音する」「聞く」「書く」をバランス良く行うこと。なんとなく単語帳を眺めているだけでは、いつまでも記憶に残りません。そこで、視覚、聴覚、触覚をフル活用する学習手順の一例を紹介します。単語を覚えるための最適な方法は人それぞれなので、必ずしもこの通りにする必要はありません。皆さんなりの覚え方を考えてみてくださいね。

●英単語の覚え方(手順例)
①英単語の意味を確認する。
②確認した意味を思い浮かべながら英単語を発音する。
③発音と意味を思い浮かべながら、紙に英単語を書く。

 ①を行う時には、なるべくその単語を連想するイメージを持つといいでしょう。例えば、「empty」であれば、①で「空の」という意味と一緒に「飲み干して空になったグラス」を連想します。そのイメージを持ったまま②と③を続けます。記憶の片隅に映像を残しておくと、正しい意味を思い出しやすくなるはずです。ぜひ試してみてくださいね。
 ①~③を行うと1語につきおおよそ30秒かかる設定です。単純に計算すると、1日10分の学習時間であれば20語ずつ覚えることができます。1週間休みなく勉強を続けると140語です。1か月で約560語の成果。なかなかのハイペースですね。これなら、小中高校で学習する3100語は、半年もあればすっかりクリアできてしまいます。
 ただ、現実はそう簡単にはいきませんね。皆さんもすでに経験済みだと思いますが、学習内容をすべて記憶し続けられる人は、まずいません。昨日覚えたばかりなのに、翌日にはすっかり忘れてしまっていたことも珍しくないはず。これは仕方のないことです。そもそも人間というのは忘れやすい生き物なのです。しかし、だからといって諦めることはありません。記憶は繰り返すことで定着していきます。
 ドイツの心理学者エビングハウスの実験では、人の記憶はたった1日で急激な忘却が起こるものの、その後の忘却は緩やかであることがわかりました。つまり、それほど間をあけなければ、二度目、三度目と繰り返して学習する際には、前回の下地があるので比較的少ない労力で覚え直すことができるのです。そこで、例えば200語まで学習が進んだところで、前に覚えた10語を復習する日と、新しく覚える10語を学習する日を、交互に入れていくというのはどうでしょう? こうした作業を続けることで、記憶を定着させることができるはずですよ。

mission2 自分の学習に合った英単語カードを作ろう

単語カードで仕分ける

 通学途中や待ち時間などの“スキマ時間”で英単語を覚えたいという人は、単語カードを作ってもいいですね。 単語カードのメリットは次の通りです。
①単語帳に比べてコンパクトで、ポケットに入れるなどして持ち歩ける。
②リング式でカードの取り外しが容易なので、覚えたい英単語だけを選んでまとめることができる。
③カード1枚に書き込める量が限られているので、集中して覚えることができる。

 特に、取り外しができるメリットが大きいですね。完璧に覚えた単語のカードを外していけば、どんどん束が薄くなっていきます。「最初はあんなに分厚かったのに、こんなに薄くなった!」という達成感を味わうことができますね。英単語カードの例を下に2つあげます。それぞれの学習の目的・スタイルに合わせてカスタマイズしましょう。

mission3 まぎらわしい英単語や英語表現を整理しよう

まぎらわしい英語を整理

英語には、スペルや発音が似ていたり、日本語に訳した時に意味が似ていたりする単語や表現があります。これらを「なんとなく」暗記していると、後で混乱したり、まちがった思い込みのままで学習を進めてしまったりします。
 例えば、「dessert(ディザ~ト)」は食後の後に出るフルーツやお菓子のことですが、同音語に「~を捨てる、見捨てる」を意味する「desert」があります。さらには、「desert(~を捨てる、見捨てる)」と同じスペルであるのに、「desert(デザト)」と発音する「砂漠」を意味する単語もあります。ややこしいですね。また、下でも紹介しますが、「今何時ですか?」と「お時間ありますか?」のように、表現の方法を誤ると正しく相手に伝わらない英語もいくつかあります。
 まぎらわしい英語は、単語帳の学習がある程度進んだ段階で、整理していくといいでしょう。まだ辞書を購入していない、買い替える予定があるという人は、類義語や同音語への誘導があるものを選ぶといいかもしれません。